2025.07.15 16:00

スロベニアが11月に「デジタルノマド」ビザ導入へ 最新情報とポイント解説

スロベニア北部ブレッド湖(Shutterstock.com)

リモートワーカーにとって、同国の魅力は明白だ。首都リュブリャナのほか、マリボルやツェリェ、クラーニ、コペルといった都市は、リモートワーカーを支援するための社会基盤の改善を進めており、利用者同士が机や会議室を共有して仕事をするコワーキングスペースや高速Wi-Fi(ワイファイ)などを整備している。これらの都市は、外国人居住者やデジタルノマドのコミュニティーが存在する場所でもある。

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スロベニアは景観の美しさとゆったりとした生活のペースを持ち、欧州で最も清潔かつ安全で、最も環境に配慮した国の1つだ。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイを本拠とする民間投資会社レガタムの格付けによると、スロベニアは安全性と自然の美しさで世界の上位10%に入っており、医療分野でもほぼ同等の評価を受けている。

アルプスの山々や中世の街並みから澄み渡った湖、さらにはアドリア海の海岸線まで、同国にはあらゆる魅力がある。先述のタビビアンは、「多くの米国人が太陽と海岸を求めて地中海沿岸に移住している中、スロベニアはアルプス地域で生活し、山々や湖を楽しみ、周囲を囲むイタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアといった国々への移動を楽しむことのできる独自の機会を提供している」と強調。最高気温も30度を超えることはなく、気候も快適だと述べた。

また、米国や西欧諸国と比べると、物価が安いのも特徴だ。バーネットによると、生活費は米国の半分程度で、首都リュブリャナには子ども連れの家族向けのインターナショナルスクールが7校ある。タビビアンも、西欧諸国より手頃で、場所によっては50%も物価が安いと紹介した。

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海外移住情報誌インターナショナルリビング・マガジンによれば、マリボル、シュコフィアロカ、コペルなどの地方都市では、1部屋付きの物件を月額375~600ドル(約5万5400~8万8600円)という低価格で賃貸できるという。食料品や外食の価格も、近隣諸国よりはるかに安い。

公共交通機関も、大きな利点の1つだ。スロベニアの公共交通網は低料金で、車を持っていなくても国内を効率的に回るのに便利だ。近隣のイタリア、オーストリア、ハンガリー、クロアチアにはわずか数時間で行くことができ、週末に気軽に出かけることができる。

注意すべきこと

理想的なように聞こえるかもしれないが、このビザはすべての人に適しているわけではない。投資や長期滞在を通じて永住権を取得することができる国々とは異なり、スロベニアは現時点では、永住を目的とする外国人を積極的に誘致しているわけではない。また、特に個人事業主が同国で財務基盤を築こうと考えている場合、スロベニアの税法は極めて複雑だ。

それでも、目に見える景色を変えたい、特に長期滞在に縛られない形で欧州の生活を試してみたい人にとっては、スロベニアは最適な場所かもしれない。タビビアンは「欧州で1年間暮らすのは素晴らしいことだ。それを足掛かりにして、長期的な移住先としての他の国を探索するにも適している」と語る。

山の景色やゆったりとした生活を求めている場合でも、あるいは単に欧州で手頃な拠点を探している場合でも、スロベニアのデジタルノマドビザは魅力的な選択肢だ。制度の詳細に関する公式発表はまだ順次更新中の段階だが、1つはっきりしていることは、スロベニアは片手にパスポート、もう片方の手にノートPCを持ち、まったく新しい生活を歩むリモートワーカーを歓迎する準備ができているということだ。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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