『スニーキー・ピート』はブライアン・クランストンとデヴィッド・ショア(医療ドラマ『Dr. HOUSE/ドクター・ハウス』の生みの親)が共同で企画した。当初、CBS向けに制作されたがパイロット版を経て見送られ、アマゾンがシーズン1を発注した経緯がある。クランストンは製作総指揮とゲスト出演で第1シーズンに深く関与し、日々の統括責任業務はのちにグレアム・ヨスト(『JUSTIFIED/俺の正義』や『ジ・アメリカンズ/極秘潜入スパイ』の脚本家)に引き継がれた。
96%というスコアが示すとおり、2017〜2019年(パイロット版は2015年公開)にわたる放映期間中、批評家は本作をこぞって賞賛した。『ザ・ハリウッド・リポーター』のティム・グッドマンは、本作を「瞬時に好感を抱かせ、興奮のうちに物語が展開する」と評し、サスペンスとドラマが途切れないばかりか「必要とすら感じない瞬間にさらなる魅力が開花し、より長く複雑な物語を予感させる」と述べた。
映画レビューサイトのRogerEbert.comのブライアン・タレリコは、脚本は『ベター・コール・ソウル』ほど濃密ではないが「そもそもそのつもりはない。これは『オーシャンズ11』や『ゲット・ショーティ』を縮小したような娯楽作で、意外な展開、印象的な悪役、複雑な詐欺が魅力だ」と述べる。
『ロサンゼルス・タイムズ』のロレイン・アリは、主要キャストの素晴らしさを指摘し、とりわけクランストンについて「登場回数は多くないが、そのたびに計算し尽くされた恐ろしさを思い出させる」と評価した。
『オザークへようこそ』『ベター・コール・ソウル』『ジ・アメリカンズ/極秘潜入スパイ』、あるいは『リプリー』が好きなら、本作は間違いなく刺さる。『オザークへようこそ』のようにミスの許されない犯罪世界へと追い込まれ、『ベター・コール・ソウル』のように詐欺とやり直しの機微を丁寧に描き、『ジ・アメリカンズ/極秘潜入スパイ』のように「なりすまし」がもたらす感情的代償を掘り下げる。
それでも『スニーキー・ピート』が際立つのは、より軽やかな語り口にある。常に陰鬱で皮肉めいているわけではなく、嘘で塗り固められた世界にユーモアと人間味が息づく。最良の詐欺は単なる逃げ切りではなく、生き延びること、つながりを得ること、そして「本当の自分」と「演じる自分」の境界が曖昧になる瞬間にこそ価値があると、このドラマは理解している。再生ボタンを押さない理由は、どこにもない。


