騒乱のなかで繁栄するように進化した鳥
デゼルタスミズナギドリの長距離移動の能力は並外れている。特化した生理機能のおかげで、この鳥は、驚くほど巧みに気流や海の条件を利用できる。
2020年1月に『The Royal Society』誌で発表された研究によれば、デゼルタスミズナギドリは、自分の動きと追い風を、精密な角度で一致させるという。追い風にのれば、移動効率を最大化できる。この空気力学的な妙技のおかげで、暴風と、壁のような波に直面しているときでさえ、最小限の労力で飛べるのだ。
だが、そもそもなぜ嵐を追いかけるのだろうか?
その答えは獲物にある。小型の魚、イカ、甲殻類は、一般に水深600フィート(約180m)よりも深いところに生息している。海面で採食する鳥には、届かない深さだ。しかし低気圧により、時速100km超の風と、高さ8mに達する波で海が攪拌されると、そうした深いところの生物が海面近くに運ばれてくる。
デゼルタスミズナギドリにとって、嵐の騒乱は、普段なら手の届かないごちそうを、簡単に捕まえられる獲物に変えてくれるものなのだ。
驚くことに、前述の研究で追跡されたデゼルタスミズナギドリのうち、研究中に負傷したり巣を放棄したりする個体はいなかった。これは、彼らのレジリエンスを浮き彫りにしている。デゼルタスミズナギドリは、過酷な条件下では羽ばたきに費やす時間を減らし、翼の疲労や負傷を最小限に抑えているようだ。
ハリケーンを追うデゼルタスミズナギドリの行動は、嵐を純然たる破壊力としか見ない私たちの認識に挑戦状を突きつけている。そうした気象現象は、陸上では大惨事をもたらすが、広大な海では新たな機会を生み出してもいる。
デゼルタスミズナギドリにとって嵐とは、単なる耐えるべき障害物ではなく、生存と成功をもたらす触媒でもあるのだ。


