猛暑が続くとエアコンの電気代が気になる。はたして気温が1度上がると、エアコンの電気代はどれくらい上がるのだろうか。金融情報メディアやコンサルティングなどを提供するSong(ソング)は、地域ごとのシミュレーション結果を発表した。
SONGは、全国の20〜40代の男女300人を対象に調査を行い、夏の気温が1度上がることでエアコンの1カ月あたりの電気代がどう変化するかを試算した。日本を北海道、関東、関西、九州の4つの地域に分けて、それぞれに独身世帯とファミリー世帯での電気代の違いを示している。独身世帯は1Kの賃貸物件に暮らす35歳。ファミリー世帯は3LDKの持ち家に暮らす30代の夫婦と子ども1人という家族構成をモデル世帯とした。気温は気象庁の地域別夏の平均値を基準にしている。

気温が1度上がった場合、もっとも電気代が高くなるのが関東のファミリー世帯で2300円。独身世帯は1200円だ。もっとも安いのは北海道だが、それでもファミリー世帯が1500円、独身で800円の増加となる。
北海道:独身 +800円/ファミリー +1500円
関東 :独身 +1200円/ファミリー +2300円
関西 :独身 +1100円/ファミリー +2100円
九州 :独身 +900円/ファミリー +1800円
設定温度が28度と26度の場合、それぞれの稼動時間が4時間と8時間の場合の夏期の月間電気代のシミュレーション結果も示されている。それによると、室温26度で8時間稼動したファミリー世帯では、じつに6100円アップの9600円となった。エアコンを使わないわけにはいかず、何か対策をするべきだ。
そこで、節電グッズまたは小規模リフォームの導入となるが、その費用対効果ランキングでは「スマートサーモスタット」がトップになった。あまり聞き慣れないモノだが、全館空調が基本の欧米の家屋では各部屋の壁に冷暖房のコントローラーがある。これがサーモスタットだ。ホテルの部屋の室温調節のアレと同じ。それをIoT技術で遠隔操作やプログラムを可能にするというものだ。

独身世帯の費用対効果
スマートサーモスタット:180%
LED電球交換:150%
遮熱カーテン:130%
断熱シート:110%
窓用遮熱フィルム:90%
ファミリー世帯の費用対効果
スマートサーモスタット:200%
LED電球交換:170%
遮熱カーテン:140%
断熱シート:120%
窓用遮熱フィルム:100%
一部のマンションに導入されている場合もあるが、日本では馴染みがない。その代わりに日本で普及しているのは、スマホでエアコンなどの運転管理ができるスマートリモコンだ。基本的には同じようなものなので、これも有効であろうと思われる。
照明をLEDに交換する、窓に遮熱カーテンを付ける、窓に遮熱フィルムを貼るといった手軽な方法も、かなり効果があるようだ。
スマートサーモスタットやスマートリモコンは、費用対効果が高いとは言え導入にそれなりの予算が必要になる。むしろ、比較的安価な家の断熱をして空調の無駄を抑えるのが先だろう。その上でスマート機器を活用すれば効果が十分に発揮されるというものだ。



