エヴァンスによれば、中規模都市にサービスを提供するには500〜1000台規模の車両が必要になる見込みだが、同社がラスベガスでのサービス開始時に何台を用意するのかは明かさなかった。Zooxは現在、ラスベガスやベイエリア、サンフランシスコの公道で安全運転手なしの完全自動運転テストを実施中だが、カリフォルニア州で有償の乗車サービスを行うための許可はまだ取得していない。この点では、数年前に運転手なしの試験運行を始め、5年前にフェニックス郊外でサービスを開始したウェイモに遅れを取っている。
Zooxがロボタクシーの本格的な量産を開始する一方で、ウェイモはロサンゼルスやサンフランシスコ・ベイエリアでサービス地域を拡大しており、6月中旬にニューヨーク市でのテスト許可の申請も行った。また、フォルクスワーゲンも先日、Mobileyeの自動運転技術を搭載したID.Buzzのバージョンを来年から販売する計画を発表した。
とはいえ、Zooxの自動運転に対するアプローチは、テスラよりもウェイモに近い。同社は、この10年間、市街地での改造車両による走行テストや、仮想空間でのシミュレーションに注力してきたが、同社独自の車両には8基のレーザーライダーや10基のレーダー、18台のデジタルカメラ、8基のマイク（緊急車両の接近等を聞き取るためのもの）、さらに4基の熱感知カメラが搭載されている。これは現行のウェイモの装備にほぼ匹敵するものだ（ただしウェイモは現在、13台のカメラと4基のライダー、6基のレーダー、熱センサー、外部音受信装置で構成される低コストのモデルへの移行を進めている）。
一方マスクは、テスラの自動運転システムが、Zooxやウェイモと比べればごくわずかなコストしかかからない、8台のカメラと超音波センサーのみで安全を維持できると主張している。しかし、マスクのこの主張に、研究者や安全の擁護団体は懸念を示している。なぜなら、米当局は複数回にわたってテスラのオートパイロットやフルセルフドライビング（FSD）などの機能が関与する死亡事故について、調査を行っているからだ。
スタンフォード大学出身のコンピュータサイエンティストであるZooxのレヴィンソンは、「カメラだけでも自動運転車を走行させることは可能だが、我々は複数のセンサーを用いて安全性を最大限に高めたい」と述べおり、その理由を、「我々は、テスラのような自動車メーカーではないからだ」と説明した。
「我々は、自動車を販売する企業ではないため、テスラのように1台ごとの採算性に縛られることはない。だからこそ、安全性を徹底的に追求できる」とレヴィンソンは語った。
