政治

2025.07.14 09:00

終結見えぬウクライナ侵攻、ロシアに代償を支払わせるために何をすべきか

ウクライナ南部ザポリッジャ州オリヒウで、ロシア軍の砲撃により破壊された教会と住宅。2024年5月20日撮影(Ukrinform/NurPhoto via Getty Images)

はっきりと言おう。ロシアの脅威は現実的で切迫しており、ウクライナだけでなく世界全体に影響を及ぼしている。現実には、中国はわれわれがいつか対峙するかもしれない長期的な敵国だが、ロシアの敗北が同国を弱体化させることを中国は自ら理解している。

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本稿は、外国の戦争に対する米国の無限の支援や慈善活動を求めるものではない。これは、米軍を危険から遠ざけながら、現在米国にとって最も危険な敵を弱体化させる方法について、明確な思考を促すものだ。要するに、ウクライナ全土からロシアを完全に撤退させること、それに尽きる。

ロシアに戦争の代償を支払わせるには

まず、最新の統計によると、2022年以降の米国の対ウクライナ支援の総額は約1850億ドル(約27兆2000憶円)に上る。欧州の支援額は米国を若干上回る。一方、制裁で凍結されたロシアの国家資産3300億ドル(約48兆6000億円)は、西側諸国の銀行にそのまま残されている。先述のアシュによれば、その資金はウクライナの向こう3年間の国防と復興に充てられる計画だという。

米国は以前にも同様の理由でイラクとアフガニスタンの資産を押収したことがある。ロシアの資産を差し押さえるために直ちに法律を改正することは可能であり、また改正すべきだ。それには米国が先導役を果たさなければならない。米国が迅速かつ断固たる行動を取れば、カナダや英国、EU諸国などの同盟国もそれに追随するだろう。それが真の指導者としての役割であり、トランプ大統領が掲げる「米国第一」主義だ。

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第二に、米政府にはより良い政策立案が求められている。欧州をはじめとする国々はロシアからではなく、米国やカナダなどの同盟国から天然資源を輸入すべきだ。米国は天然資源の純輸出国であり、カナダも同様に大きな可能性を秘めている。これにより、西側諸国の資金は安全な国の中にとどまることになり、ロシアへの資金の流れが断たれるだろう。

中国やインド、トルコ、ブラジルのほか、一部のEU加盟国など、依然としてロシア産の石油や天然ガスを輸入している国は、米国から厳しい制裁を科されることになる。ロシアが西側諸国への天然資源の輸出により、2022年2月以降ウクライナが受け取ってきた支援額の3倍もの収入を得ている現状を断ち切り、西側諸国の資金がロシア政府の手に渡らないようにしなければならない。われわれはこの戦争の双方に資金を提供する余裕などないからだ。

要するに、ウクライナを支援するためにロシアの凍結資産を活用し、ロシアの天然資源収入を遮断し、その収入を西側の同盟国にもたらすことは、米国を強化し、米軍の戦地への派遣を防ぐとともに、将来的に西側諸国が数兆ドルの支出を節約することにつながる。

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翻訳・編集=安藤清香

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