高級と排他性の究極的な象徴となった製品として、エルメスの「バーキン(Birkin)」に並ぶものは数少ない。このハンドバッグは、映画や音楽、文学など様々な分野でポップカルチャーにおける不朽の地位を築き、これを愛用するセレブリティが誇らしげに腕に抱える姿は多くの人々を魅了してきた。大手スーパーマーケットのウォルマートでは「ワーキン(Wirkin)」と呼ばれる模倣品さえ販売され、多くの議論を巻き起こしている。
これまでオークションで販売された最も高価なハンドバッグは、特別な「ヒマラヤ」と呼ばれる白いニロティカスクロコダイル(ナイルワニ)の革を使い18Kホワイトゴールドの金具にダイヤモンドをあしらったエルメスの「ケリー28」で、2021年に開催されたクリスティーズのオークションでは400万香港ドル(約7500万円)の値が付いた。
しかし、7月10日にパリでファッションの歴史に新たなページが開かれた。
サザビーズのオークションで、ジェーン・バーキン自身が所有していたオリジナルのバーキンのプロトタイプが、858万2500ユーロ(約14億7000万円)という金額で落札されたのだ。これは中古高級品の市場が成長している現在の傾向を反映している。
収集価値のある高級品に投資
最近では中古の高級品の販売が増えているが、特に希少性が高かったり特別な歴史のある品は売買が活発だ。投資専門誌「マネーウィーク」は、高級品への投資が利益をもたらす可能性を指摘している。不動産コンサルタント「ナイトフランク」の投資指数によると、2024年に最もパフォーマンスが優れていた高級資産はハンドバッグであり、2.8%の利回りを記録した。これに対し、ウイスキーは9%の損失、アートは18.3%の損失だった。過去5年間でハンドバッグの分野では価値が34%も上がっている。
さらに、ボストン コンサルティング グループ(BCG)では、裕福な投資家たちが資産の多様化とインフレ対策のために、ますます新たな投資分野を探していると指摘。例として挙げている高級腕時計は、全般的に過去5〜10年間で市場価値が大幅に上がっており、この分野の成長が確認できるとしている。



