7つの異なる点
最初に作られたバーキン・バッグは個性が溢れている。ジェーン・バーキンはこれを日常的に使用し、物を満杯に入れていた。彼女は鍵やチャームをいくつも付けており、歩くたびに鐘のような音が鳴った。ジェーン・バーキンはまた、「メドゥサン・デュ・モンド(世界の医療団)」や「ユニセフ(国連児童基金)」などの人道支援団体を支援するため、バッグにステッカーを貼っていた。彼女は生前の1994年、このバッグをフランスのエイズ支援団体「ソリダリテ・シダ」に寄付し、それはチャリティ・オークションに出品された。その後、オリジナルのバーキン・バッグは2000年5月にポワン・ル・フルによって再びオークションにかけられ、今まで個人が所有していたという。そして今年7月、サザビーズがパリで開催した「ファッション・アイコン」オークションに登場し、伝説的な装身具として注目を浴びることになった。
サザビーズでハンドバッグとファッション部門のグローバル責任者を務めるモルガーヌ・アリミは、このバッグを「ファッションとアクセサリーの世界における本物のユニコーン」と表現している。
今回のオークションに出品されたオリジナルのバーキン・バッグはプロトタイプであるため、市販されている標準的なバーキン・バッグとはわずかに異なる点がある。まず、そのサイズが独特だ。横幅と高さは「バーキン35」と同じだが、奥行きはより大型の「バーキン40」と同じだ。後に作られたモデルと異なり、ベルトを掛ける金具が閉じている(標準的な市販モデルは1990年代初めまでは下側が、それ以降の現在まで販売されているモデルは上側が開いている)。内側のジッパーはエルメスがリリ社と提携する以前に使っていたエクレール社製。取り外し不可の肩掛けストラップが備わるのもオリジナルならではの特徴だ。
そして前面のフラップにはジェーン・バーキンのイニシャル「JB」が型押されている。すべてのバーキン・バッグと同様、このバッグも底面にスタッド(底鋲)が打たれているが、現在販売されている標準的なモデルよりも小さい。また、このオリジナルは金色の真鍮製の金具が取り付けられているが、後の市販モデルでは金やパラジウムなどのメッキを施した金具に置き換えられた。最後に、このバッグはストラップに小さな爪切りが括り付けられており、ジェーン・バーキンの実用性を重視する気質とボーイッシュな美意識が反映されている。
今回の記録的な落札価格は驚くことではない。このオリジナルのバーキン・バッグはファッションの歴史の一片である。独自の仕様は、この象徴的な品物がジェーン・バーキンのために特別に製作されたことを物語っている。コルミンドが言うように、これは彼女が実際に使用し、流行の始まりを作った、唯一無二の物語を持つ逸品だ。


