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2025.07.14 10:30

混同されがちな「AIエージェントとRPA」、ビジネスリーダーが知っておくべき違いと使い分け

tadamichi / Getty Images

RPAとエージェントの違いと、使い分け方を知る

もしChatGPTや他の生成AIチャットボットを「シンキング」モードで使用すれば、クエリ(ユーザーからの質問・要求)に応答する際のその「思考」過程を見ることによって、AIエージェントがどのようにこれを実行するのか、その一端をうかがい知ることができる。単一のクエリについて考えて応答するだけでなく、この能力を複雑で複数ステップにわたるタスクやプロジェクトに応用できるのである。

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違いを具体的に説明するため、顧客サービスのEメールデータベースを例に、それぞれが異なるタスクを遂行するために、この同じデータセットにどのように異なるアプローチをとるかを見てみよう。

RPAを使えば、メールの送信者、件名、送信日時といった詳細を抽出することが可能である。これはEメールデータベースの構築や、キーワードに基づいたEメールの大まかな分類に利用できる

AIエージェントは、言語処理を用いてEメールの感情を分析し、緊急度に応じて優先順位を付け、さらには個別対応の返信文を作成して送信することさえ可能である。そして、時間とともに、より良い解決策を導き出すために自らの行動を改善する方法を学習していく

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AIエージェントははるかに新しく、より洗練された技術ではあるが、だからといってあらゆるタスクに対して自動的に最良の選択肢となるわけではない。では、どちらを使うべきかをどう判断すればよいのだろうか。

では、どのように選ぶべきか

自身の自動化プロジェクトにAIエージェントとRPAのどちらが適しているかを検討する必要がある場合、以下のような点を自問してみるとよいだろう。

・そのタスクには、日々の反復的な作業によって達成可能な明確な目標があるか? もしそうであれば、RPAが適している可能性がある

・データはクリーンで構造化されているか、それとも雑然とした非構造化データか? すべてがスプレッドシートの行と列にきちんと収まるようなら、おそらくRPAが正しい選択だろう

・そのタスクは、人間の言語、行動、あるいは意図の解釈に基づく意思決定を伴うか? これらにはAIエージェントが適しているかもしれない

・タスクの実行中にプロセスが変化したり、ツールが新しいデータソースに適応したりする必要はあるか? この場合は、AIエージェントの方がおそらく有用だろう

最後に、多くのプロジェクトは、ハイブリッドなアプローチをとることで最も効果的に対処できる可能性がある。定型的な自動化と知的な意思決定の両方を組み合わせることでタスクを完了できるようなケースでは、このアプローチが両方の長所をもたらすだろう。

例えば、人事のオンボーディングシステムでは、アクセス権の設定、入力フォームの処理、定型文書のファイリングといったプロセスにRPAを導入することが考えられる。同時に、AIエージェントが質問に答え、個別のアドバイスを提供し、システム全体が円滑に稼働しているかをエンドツーエンドで監視することも可能である。

自動化戦略が成熟するにつれて、特定の技術を導入したり、あるいは効率を最大化するためにそれらを組み合わせたりする機会を見極める能力が、ビジネスの成功にとってますます不可欠となるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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