現在ビジネスオートメーションに関する議論において頻繁に登場するふたつの用語が、「AIエージェント」と「ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)」だ。これらがしばしば一緒に言及されるのは、どちらも従来は人間が処理していた反復的でルールに基づいたタスクの効率化を目的としているからだ。
しかし、自動化や「ロボット」の活用という点においていくつかの共通点はあるものの、両者は異なる種類の問題を解決するためにまったく異なるアプローチをとる。業務に適したツールを選択するためには、これらの違いを理解することが不可欠である。
RPAの本質は、単純で反復可能なタスクを実行させるため、明確でルールに基づいた指示でソフトウェアをプログラミングすることにある。
対照的に、AIエージェントはプログラムされるのではなく訓練される。一度訓練されると、自然言語モデルやコンピュータービジョンといったツールを用いて複雑なタスクをこなし、意思決定を行うよう任されるのである。
では、この違いは、それぞれが適した課題の種類にどう影響するのだろうか。さらに重要な点として、特定の状況においてどちらを使用すべきかをどのように判断すればよいのだろうか。
ロボットとは何か
ロボット、ボット、仮想アシスタント(バーチャルアシスタント)、そして近年では「デジタルワーカー」といった言葉はすべて、従来、私たちの仕事を助ける能力を持つあらゆる機械に対して使われてきた用語である。その起源はゼネラルモーターズが1961年に生産ラインへ機械式アームを導入した時まで遡る。
「ロボット」という用語は、私たちのために仕事を自動化できるあらゆる機械を指す。それが今日私たちが「AI」と呼ぶ、アルゴリズムや機械学習に基づくプロセスを利用しているかどうかは問われない。しかし、RPAの「R」は一般的に、機械的なロボットではなく、ソフトウェアベースのロボットを指す。
技術的にいえば、RPAは、ChatGPTのようなAIシステムが人間の知能の機能を一部模倣していると私たちが考えるのと同じ意味合いで「知的」であるとは言えない。RPAは、私たちが作業する手間を省くために、単に同じルールを何度も繰り返し実行するだけのものである。
RPAが最も効果的に機能するのは構造化データに対してである。なぜならRPAはAIとは異なり、画像、動画、人間の言語といった非構造化データを分析・理解する能力を持たないからだ。
RPAは、反復的な「生産ライン」のような作業、アプリケーション間のデータ移動、そして分析目的での構造化ソース(顧客データベースや財務報告書など)からのデータ抽出といった用途で頻繁に利用される。
一方、AIエージェントは、言語モデルやコンピュータービジョンといった他のAI技術を用いて、周囲の世界を理解・解釈する。単にデータを分析して質問に答えるだけでなく、望む結果を達成するための方法を計画し、それを実行するためにサードパーティのサービスと連携することで、行動を起こす能力も備えている。



