宇宙

2025.07.13 11:00

「第2の地球」が低質量の赤色矮星の周囲に多数存在する可能性 CARMENES観測が示唆

スペクトル型M型の赤色矮星(中央やや右)を公転する系外惑星を描いた想像図(NASA)

スペクトル型M型の赤色矮星(中央やや右)を公転する系外惑星を描いた想像図(NASA)

太陽系の近くに数百個もの地球に似た太陽系外惑星が存在する可能性があることが、最新の研究結果で明らかになった。また、地球類似惑星は最も一般的なタイプの恒星の周りに多く見られることが、この研究でわかった。

欧州南天天文台(ESO)によると、赤色矮星は質量が太陽の10分の1~5分の1程度の低質量星で、天の川銀河(銀河系)にある恒星の約80%を占めている。また、地球の近傍にある恒星30個のうち20個が赤色矮星だと見られている。この中には、地球に最も近い恒星のプロキシマ・ケンタウリが含まれており、2つの惑星が公転している可能性があることが最近の研究で明らかになった。

今回の研究では、視線速度法(ドップラー分光法)による太陽系外惑星の新しい探査プロジェクト「CARMENES」のデータを分析することで、4つの系外惑星を新たに発見し、どこでより多くの地球類似惑星が見つかる可能性が高いかに関する有力な新知見が得られた。

新たに4つの系外惑星を発見

ドイツ・ハイデルベルク大学などの天文学者チームは、スペインのカラーアルト天文台にある視線速度測定装置CARMENESを用いて赤色矮星15個を観測し、この4つの系外惑星を発見した。うち3つは地球サイズで、残る1つは地球の14倍の質量を持つ。

天文学誌Astronomy & Astrophysicsに掲載された今回の論文のデータを用いた統計的分析により、太陽質量の16%未満の質量を持つ恒星は、質量が地球の3倍未満の惑星を平均して約2個持つことが明らかになった。

「極めて驚くべき」発見

今回の発見は小型の惑星に限定されており、大型の惑星は赤色矮星の周囲には稀であるように思われる。論文の筆頭執筆者で、ハイデルベルク大学天文学センターのケーニッヒシュトゥール天文台に所属するエイドリアン・カミンスキーは「非常に低質量の恒星の周囲に小型惑星がこれほど高頻度で存在するのは極めて驚くべきことだ」として「このことは、低質量星が主星に近い軌道にある比較的小型の惑星を形成する傾向があることを示唆している」と述べている

赤色矮星と「第2の地球」

これまでに見つかっている系外惑星5000個のうち、質量、半径、表面温度、主星の種類の4つの観点から見て地球と瓜二つの惑星は1つもない。だが、CARMENESによって新たに見つかった3個の小型惑星は、主星の種類が赤色矮星であること以外の基準を満たしている。

ケーニッヒシュトゥール天文台台長のアンドレアス・クアレンバッハは「恒星の周囲で水が液状で存在できると考えられる範囲である、いわゆるハビタブルゾーン内にある小型の岩石惑星は、生命生存可能な惑星の有力候補だ」と説明している。赤色矮星は数多く存在し、かつ長寿命であるため、生命の発生のための安定した環境を提供できる可能性があると、クアレンバッハは続けている。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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