それでもなお、コアウィーブの株価は上昇を続けており、主要株主たちはIPOのロックアップ期間が終了する9月までは株式を売却できないものの、ビリオネアの仲間入りを果たしている。同社の共同創業者のマイケル・イントレーターとブライアン・ヴェンチューロ、ブラニン・マクビーの3人の推定保有資産はそれぞれ、99億ドル(約1兆4600億円)と61億ドル(約898億円)、45億ドル(約662億円)に達している。また、初期投資家で取締役を務めるジャック・コーゲンの保有資産も35億ドル(約5150億円)に達している。
フォーブスは、2024年5月にニューヨークの連邦地方裁判所に提出された訴状から、ウェクスナー家がコアウィーブ株を保有していることを確認した。この訴訟は、資産運用会社「フローレンス・キャピタル・アドバイザーズ」が提起したもので、同社はコアウィーブへの初期投資に関してウェクスナー家の信託に助言を行ったことに対する報酬の約700万ドル(約10億3000万円)が支払われていないと主張している。一方の信託側は反訴で、同社による「詐欺的行為」や「受託者義務の複数回にわたる違反」を訴えており、この訴訟は現在も係争中だ。ウェクスナーの広報担当者はこの記事に関する取材に応じず、フローレンス・キャピタル創業者兼CEOのグレッグ・ハーシュも「係争中につきコメントできない」と述べた。
ウェクスナーとその家族は、2020年から2021年にかけてのLブランズ株の売却により、税引き後で20億ドル(約2940億円)以上を得たとみられ、それ以外にも未公表のスタートアップ投資を行った可能性が高い。ウェクスナー家はコアウィーブ株のほかにも、オハイオ州中部に約950億円(約1兆4000億円)相当の土地を保有する不動産開発会社を経営しており、14億ドル(約2060億円)相当のアートコレクションや全長約90メートルのヨット、フェラーリのコレクション、そして世界各地に3億ドル(約441億円)相当の高級不動産ポートフォリオを持っている。
データセンター拠点として注目のオハイオ州
急速に変化するAIの世界において、ウェクスナーが先駆者として浮上したのは意外に思えるかもしれない。しかし実際には、彼は何年もかけて故郷のオハイオ州をテクノロジー革命の最前線に押し上げるための準備を進めてきた。
ウェクスナーが所有するオハイオ州中部にある不動産開発会社「ニューアルバニー・カンパニー」は、1980年代初頭までは小さな農村町だったニューアルバニーを、彼が立ち上げた多数のファッションブランドの製造拠点が集まり、数万人を雇用する経済拠点へと変貌させた立役者だ。オハイオ州立大学の准教授で、同州の経済開発に関する2021年の著書『ブームタウン・コロンバス』を発表したケビン・コックスは、「ザ・リミテッド(女性向けカジュアルブランド)がここにあったからこそ、コロンバスが物流の中心地になった」と語る。
ニューアルバニー・カンパニーは2019年以降、メタやアマゾン、マイクロソフト、グーグルといったテック大手に対し、数千エーカーのデータセンター用地を売却した。これらのプロジェクトは、しばしば州や地方自治体からの多額の税優遇措置を受けているものの、創出される雇用が少ないことから批判を受けている。


