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2025.07.23 16:15

メガバンク初任給一斉引き上げ。就職逆氷河期時代、金融各社の新卒囲い込みバトル

Getty Images

それでも注意すべき「初任給の罠」

ただし、初任給が高いという理由だけで判断するのは危うい。企業によっては若手の目を引くために初任給を引き上げる一方、賞与や昇給幅を抑えるケースもある。

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入社後に「思っていた年収と違った」と気づく若手も少なくない。採用市場で情報が非対称になりがちなだけに、初任給は大切な手がかりでありつつも、全体報酬を立体的に捉える視点が欠かせない。

金融業界の変化は他業界へ広がるか

日本の金融機関がここまで踏み込んだ意味は大きい。伝統的な大企業が本格的に初任給を見直したことで、他業界にも引き上げ圧力が広がる可能性がある。

世界と戦える待遇を整えなければ、人材が流出し続けるのではないか。そんな危機感が、長く変わらなかった雇用の慣行を動かしつつある。

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「スタートから高い報酬を提示できる企業こそ、未来の人材を惹きつける」。
 今や初任給は、企業ブランドを左右する経営戦略の一部に進化しているのではないかと考える。

内定後の「囲い込み」も活発に

初任給競争の裏側では、内定辞退を防ぐ動きも強まっている。
 筆者が内定を得た大手保険会社でも、内定通知から3カ月の間にレストランでの内定者懇親会が数回、社員との面談が複数回行われた。

多くの企業が懇親会や座談会を重ねるのは、内定者に企業文化を伝えるためであると同時に、「どれほど本気で入社する意思があるか」を確認する側面もある。
その過程は、内定者にとって貴重な情報源である一方、囲い込みに近いプレッシャーを感じる場面も少なくない。

このような日本独特の「就活」カルチャーは、しばしば海外の注目も集めてきた。実際、Bloombergの記事で、メガバンクとグローバル金融機関が繰り広げる熾烈な新卒争奪戦を紹介している。

初任給は、もはや単なる給与額ではない。それは企業の競争力とブランドを映す鏡であり、日本の雇用文化のターニングポイントとなりつつある。

文=斎藤小夏 編集=石井節子

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