興味深いことに、口唇窩は狩りの戦略(待ち伏せ型、追跡型など)とは無関係で、種分化(新しい生物学的種が誕生する進化プロセス)も促進していなかった。口唇窩は、ヘビの多様性を高めたわけではなく、単に精度を高めただけだった。ボア科において口唇窩は、樹冠のような環境(動きや音よりも熱の手がかりの方が、しばしば信頼性が高い環境)へのアクセスを可能にした可能性がある。
ボアコンストリクターは、待ち伏せのスペシャリストだ。何か温かいものが通過するまで、動くことなく待ち続ける。彼らの熱感知器官は、完全な画像をつくり出すわけではない。サーマルカメラではなく、サーマルコンパスのようなものだ。しかし、その信号は十分だ。わずかな動き。一瞬の温かさ。攻撃は突然で、容赦なく締め付ける。
3. ヒガシダイヤガラガラヘビ(Crotalus adamanteus)
体長5mを超えることもあるキングコブラは、世界最大の毒ヘビだ。その共食いについては、こちらを読んでほしい。
しかし北米の王者は、間違いなくヒガシダイヤガラガラヘビだ。最大全長が2m超える北米最大の毒ヘビで、猛毒と、卓越した赤外線感知能力で知られる。
マムシ亜科のすべての種がそうであるように、目と鼻孔の間に一対の頬窩を持っている。頬窩の内側には、熱に敏感な神経終末が密集した膜があり、周囲のわずかな温度差を感知できる。
研究によれば、ヒガシダイヤガラガラヘビの頬窩を覆う表皮は、体のほかの部位より効果的に中赤外線を透過し、熱信号を増幅するフィルターのような役割を果たしている。集められた熱情報は、視覚情報などを処理する脳の「視蓋(しがい)」で処理され、そこで視覚情報と統合されることで、周囲の状況を総合的に認識できる。
これにより、完全な暗闇でも、獲物となる温血動物の位置を正確に特定できる。
赤外線感知能力は、ヒガシダイヤガラガラヘビが持つ能力の一部にすぎない。米国南東部のノースカロライナ州からフロリダ州にかけてとルイジアナ州の一部に分布するこの種は、噛まれた場合は治療を受けないと人間を殺すほどの猛毒を持つ。ヤシやマツの林、海岸の砂丘などに潜み、哺乳類、鳥類、さらには爬虫類が通りかかるのを待つ、卓越した待ち伏せ捕食者だ。
その攻撃はすばやく、毒は致命的だ。さらに、高度な熱感知能力のおかげで、ヒガシダイヤガラガラヘビはめったに獲物を逃すことがない。


