「クラシック音楽は敷居が高い」多くの日本人はそのように感じ、クラシックを味わい、語り合うことに抵抗を感じています。そんな窮屈な当たり前に意義を唱えるのが、ドイツ在住でオペラ歌手の車田和寿さんです。登録数11万を超えるYouTubeチャンネルでも人気の車田さんは、「音楽はもっと感じるままに味わえばいい」「知識やお勉強はいらない」と考え、クラシックの魅力を市井の人たちに伝えています。
クラシック音楽を楽しむちょっとしたコツを車田さんの新刊『涙がでるほど心が震える すばらしいクラシック音楽』(あさま社)より一部抜粋・編集してお届けします。
クラシック音楽に「頭の良さ」は必要?
クラシック音楽を理解するためには頭の良さは必要なのでしょうか。
世の中にはクラシック音楽は近寄りがたい、という印象を抱いている人も多くいるようですが、もしかしたら「クラシック音楽は頭の良い人が聴く趣味」というイメージもその理由の一つかもしれません。
でも本当にクラシック音楽を理解するためには頭の良さが必要なのでしょうか?
まず「頭が良い」と言った場合、真っ先に思い浮かべるのが学校の成績が良いということではないかと思います。確かに日本は学歴社会ですから、学校での成績が様々な場面でものを言うことは少なくありません。
しかし、学校で学ぶ勉強というのは実は非常に限定的です。音楽に限らずスポーツなど何かの分野でプロフェッショナルになろうと思ったら、学校の勉強では測れない類の頭の良さが求められます。音楽家というプロフェッショナルな世界は競争です。他の人よりも少しでも優れた部分の多い人が残っていきます。そういう意味では、プロの音楽家を目指すのであれば、ある種の頭の良さというのは求められるでしょう。個人的には観察力、洞察力、想像力、判断力、行動力が優れていることが頭の良さだと思っています。



