営業職人口が激減し、成果を出す仕組みが問われる今、差をつける企業は何をしているのか? 生成AI、顧客志向、数値化で挑む「営業の未来」とは。
日本の営業は今、大きな進化を迫られている。労働力人口の縮小にともない、営業職を志す若者も少なくなり、結果として営業に従事する人の数は大幅に減少している。2000年の約968万人から23年には約810万人にまで落ち込み、実に16%近いマイナスだ(注1)。今後もこの傾向が続くと見られ、売り上げの維持向上には、営業生産性の大幅な増加が必要だ。加えて、ソリューション営業やデジタルマーケティング・販売への移行など、営業のやり方の変革も求められている。
私が2021年に「日本の営業生産性はなぜ低いのか」という白書を発表して4年。レポートでは、営業が直面している7つの課題を指摘した。なかでも、1. 営業の時間が社内会議や資料作成、事務作業に費やされ、本来やるべき営業コーチングや顧客活動に時間が割けていない。2. 営業プロセスが標準化されておらず、顧客情報も見える化されていないため、属人的な営業スタイルに依存している。3. CRM等を導入しても既存システムとの連携や経営陣による活用に失敗、営業現場の事務作業負担がむしろ増大している。4. 案件受注までの期間の長さや、顧客の役職に合わせて多人数で訪問するという日本固有の文化的課題、について重点的に指摘した。
属人的な営業スタイルから脱却するには、会社として標準営業プロセスを定義し、それぞれに必要な活動とスキルを明確に設定し、組織全体に定着させる必要がある。また、CRMに加え生成AIを活用し、営業個人の頭のなかにあった顧客情報を文字情報として蓄積・共有していく。そして何より、経営陣自らがデジタルツールへの本格的な投資を行い、管理職や担当者レベルでの事務作業や無駄な会議を大胆に削減する─そんな腹決めをし、効率化を実現することが重要だ。こうした新しい営業モデルへの変革に取り組み、営業生産性を向上しなければ、日本企業がグローバル競争に勝ち抜くのは難しい。
コロナ禍を越えた5年間で、日本企業の営業ROI(注2)は業界によってばらつきはあるものの、全体として一定の向上を見せている。データに含まれる日本企業のなかには、営業ROIでグローバル企業を上回る成果を出している例も多く現れている。一方、グローバル企業も営業生産性向上に成功しているため、依然として日本企業とグローバル企業の営業ROIには差がある状況だ。
(注1):総務省統計局「労働力調査年報」出典。販売従事者の人数をカウント。(注2):営業ROIはマッキンゼーの提唱する営業生産性の指標で、粗利額÷営業コストで算出。営業コストは公的データにはないため、図表では販管費を営業コストとみなして算出。



