リーダーシップ

2025.07.14 10:00

ペット休暇、自宅の掃除、何に使ってもいい手当て 進化する「福利厚生」の最新トレンド

DenisZbukarev / Getty Images

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従業員向け福利厚生サービスといえば、これまでは無料のランチや、スポーツジムの優待会員などが定番だったかもしれない。しかし、近ごろは様子が変わってきているようだ。

他社との差別化を図ろうとする企業側は、発酵飲料のコンブチャ(紅茶キノコ)の飲み放題や、仮眠用スリープポッドの設置にとどまらない体験を従業員に提供している。ただし、配慮の行き届いたサービスもある一方で、ちょっと奇妙なサービスもある。

筆者はこれまで、さまざまな会社が卓球台などを設置して、従業員にストレスを解消してもらおうとするのを見てきた。それらは人気があったが、一方で、気まずさを覚えるだけのサービスもあった。筆者が以前働いていた企業は無料の首マッサージサービスを提供していたが、利用していた人は誰もいなかった。同僚たちがいるところで誰かに首をもんでもらうなんて、気まずいとしか言いようがないからだ。

リーダーのすべてが、従業員に対して、本当は何を望んでいるかを聞こうとするわけではない。ただ、一部の企業は興味深い方向性を見せている。

ペットを飼う従業員向けの福利厚生

人々はペットを大事にしている。我が家にはルナという名前のラブラドールがいて、彼女は私の人生の大きな部分を占めている。子犬のころはいろいろな苦労があったし、いずれ私の元を去るときの悲しさについては想像さえできない。

ペット保険を負担してくれる福利厚生のありがたさはよくわかる。しかし、ペット関連の福利厚生として、保険以上のサービスを提供する会社もある。アマゾンやKimpton Hotels(キンプトン・ホテルズ)、Mars Inc.(マース:お菓子やペット用品の製造メーカー)といった企業は、従業員がペットを飼い始めたときや、飼っていたペットが死んでしまったときに有給休暇を取得できる制度を導入した。

ウェブサイト「WorkLife」の2024年記事によると、最近は「ペット休暇(pawternity leave:産前産後休暇maternity leaveをもじった言葉。pawは犬や猫の手足)」という制度が増加傾向にあるという。ペットをなくしたり、迎え入れたりしたときに従業員が直面する感情的な負担に理解を示し、従業員の心のウェルビーイングをこれまで以上に、そしてもっと個人的な方法で支えようとする企業側の考えが反映されている。

自宅を無料でハウスクリーニング

米カリフォルニア州サニーベイルに本社を置く人材派遣・ITコンサルティング会社Akraya(アクライア)には、従業員の自宅を専門業者が隔週でハウスクリーニングする福利厚生がある。クーポンや割引を提供するのではなく、会社側が業者を従業員の自宅に派遣し、その利用料金を全額負担するという福利厚生サービスだ。

趣旨としては、家事に使えなかった時間を従業員に返そうというものだ。実用的な福利厚生サービスだが、現金をもらって、自分でクリーニング業者を選ぶか、あるいは現金を別の目的に使いたい、という従業員もいるかもしれない。それでも、現実的な問題を解決してくれるという点で、この福利厚生は注目に値する。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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