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2025.07.17 13:15

「対話例で比較」神1on1/ダメ1on1|元アマゾン産業医の相談室 #10

元アマゾン産業医の相談室 #10

これからの1on1への期待

1on1の質は、上司の姿勢と対話力に大きく左右されます。良い1on1は、部下から主体性を引き出し、信頼関係を深めるきっかけになります。これからの1on1に求められる要素を以下のようにまとめてみました。

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1. 目的の再定義と共有

単なる業務進捗確認の場ではなく、「部下の自律的な成長支援」「エンゲージメント向上」「心理的安全性の確保」といった、より高次の目的を設定すべきです。これにより、上司と部下が共通の認識を持ち、質の高い対話へと繋がります。

2. 上司の対話力の育成

1on1の質は上司のスキルに大きく依存します。上司が傾聴、共感、フィードバックのスキルを上司が体系的に学ぶ必要があります。コーチングやメンタリングといったスキルに関する研修プログラムを提供し、上司の力量向上を支援する必要があります

3. 部下の主体的な関与

部下自身が1on1の「主人公」となり、議題を提案したり、自身の課題や目標について深く考えたりする主体性が求められます。上司には部下からの会話を引き出すことが期待されており、発言の割合は「部下:上司/7:3〜6:4」が適切だと考えます。

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4. 心理的安全性の確保

部下が安心して本音を話せる「心理的安全性」の高い場であることが不可欠です。上司は、部下の話を遮らず、否定せず、共感的に耳を傾ける姿勢を徹底すべきです。密室化でのやり取りを避けるために、オープンスペースでの1on1の実施も選択肢と考えてください。

おわりに

1on1は「制度」ではなく「文化」です。その文化が根づいた組織が、変化に強く、柔軟でそして温かいチームをつくることができるのです。大切なのは「聴く」「問う」「支える」こと。対話を通じて、部下が自分の強みや課題に気づき、成長実感を得られるような関わり方です。そのためには上司自身が変わる覚悟と、上司への支援の仕組みの構築が望まれます。

鈴木英孝◎1993年産業医科大学卒業。米国総合エネルギー企業エクソンモービル社日本法人、アマゾンジャパン合同会社の産業医としてグローバルな産業保健活動を経て独立、現在アッシュコンサルティングサービス代表社員。専門は職域の感染症管理、健康経営、化学物質管理、喫煙対策などを含む「産業保健」。新型コロナウイルス対策を始めとした感染症対策、労働衛生マネジメントシステムの国内導入を進め、さらに学会活動を通じて欧米型の産業保健活動を広く国内に紹介する。

文=鈴木英孝 編集=石井節子 撮影=帆足宗洋

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