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2025.07.11 08:00

ロボタクシーの事故は誰の責任? テスラとオーナーが直面する法的リスク

Images by jetcityimage/Getty Images

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テスラはこれまで、自動運転の支援機能であるオートパイロットやFSD(フル・セルフ・ドライビング)が絡む死亡事故に関する大きな法的問題を回避してきた。だが、「完全自動運転」で行われる乗車サービスが本格始動すれば、異なる問題に直面することになる。

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マスクが万全な管理体制で挑んだテスラのロボタクシーの試験運用は、オースティンで約20日間にわたって大きな事故なしで続いている。しかし6月24日にはこのプログラムのテスト車両のモデルYが、人気のピザ店の前に停められていたトヨタカムリに接触する軽微な事故を起こしていた。これは大事に至らなかったが、もしこれが人身事故だったらどうなっていただろうか?

テスラの強気の投資家たちは、マスクのロボタクシー構想が巨大な新たな収益源になることを期待している。だがそれと引き換えに、これまで同社が直面してこなかったリスク──すなわち、「自動運転技術の不具合による法的責任」を問われる可能性がある。さらに、マスクが長年にわたり吹聴してきた、テスラが運営する「エアビーアンドビー型のロボタクシーサービス」に車両を貸し出して収益を得ようとするテスラオーナーたちも、その責任を問われるかもしれない。

「テスラが自社で所有する車も投入されるが、顧客が所有する車両についてはエアビーアンドビーのような仕組みになる。好きなときにアプリで車をロボタクシーに加えたり外したりできるんだ」と、マスクは昨年6月の株主総会で語っていた。「テスラのアプリをワンタップするだけで、自分の車をロボタクシーの車両群に追加できて、あなたが居ない間に稼いでくれるものになる」

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だが、この仕組みで稼ごうとするテスラのオーナーは、もっと多くのことを考慮しなければならない。

「車の所有者が訴えられるという事態は、まったく起こり得る」と語るのは、これまでに1000件以上のテスラ関連の事故に関わってきたという弁護士のマイク・ネルソンだ。彼が創業したスタートアップQuantivRiskは、事故時のセンサーおよびコンピュータデータの解析を手がけている。今後、ロボタクシーの事故に関しては、テスラに加えて所有者も訴えられるとネルソンは考えており、「原告側の弁護士はこう主張するだろう。『車両の整備が不十分だった』『オーナーは車両の状態について虚偽の説明を行った』とね」と指摘した。

「自分の車をマネタイズできる」という提案

テスラのロボタクシー技術が本当に商用化の準備が整っていると仮定した場合(多くの自動運転の専門家はそれを疑っているが)、マスクが掲げる「自分の車をマネタイズできる」という提案に心を踊らせるオーナーもいるかもしれない。一方でそれは、これまでのマスクの構想と同様に失敗に終わる可能性もある。ここには、ハイパーループやソーラールーフ、2兆ドル(約292兆円)規模の連邦支出の削減を試みた政府効率化省(DOGE)の取り組みが含まれる。

そして、電気自動車(EV)の販売が伸び悩む中、マスクはロボタクシーがテスラの未来を大きく変えると声高に訴えているが、運用の詳細についてはほとんど語っていない。

「ここで大きな疑問となるのは、テスラがロボタクシーのネットワーク向けのサポート体制を整備するのかどうかだ」と語るのは、自動運転技術を研究するカーネギーメロン大学のフィル・クープマン教授だ。「さもなくば、ロボタクシーが事故を起こした場合に、その車両のオーナーが夜中の3時に飛び起きて、現場に急行して、警察と話さなければならなくなる」

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編集=上田裕資

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