テクノロジー

2025.07.11 08:00

ロボタクシーの事故は誰の責任? テスラとオーナーが直面する法的リスク

Images by jetcityimage/Getty Images

テスラ車の事故が保険の対象外になる可能性

テスラのロボタクシーの試験運用は、マスクの喧伝にもかかわらず現在オースティンでごく限られた乗客のみに開放されているが、いつ本格展開されるのかは不透明だ。同社は初期ユーザー向けの専用アプリを開発し、対象エリア内でロボタクシーを呼ぶ乗客に利用規約への同意を求めているが、その内容は、おそらく注意深く読まれてはいない。そこには、「ユーザーが目的地に到着しないケースや、ロボタクシーに関連した不便・中断・不快感を経験する可能性がある」と警告されている。また、ロボタクシーは緊急時の搬送には使用すべきでないことや、試験運用プログラムの利用者はすべての紛争を仲裁で解決する必要があるとも明記されている。

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ウーバーとそのドライバーは現在、乗客を運んでいる最中や配達中に事故が起きた場合に、法的責任を問われる可能性がある。そして業界の専門家たちは、テスラとそのロボタクシーネットワークに車を提供する所有者にも、同様の責任が生じると予想している。しかし、自動運転車をエアビーアンドビーのように貸し出すという発想自体が新しいため、そうした所有者が商用利用を前提とした保険に加入するのは難しいかもしれない。

「自家用車の保険契約者が複数の完全自動運転車を所有し、それを道路に出して収益を上げようとする場合は、人々を少し困惑させることになる。この行為は非常に新しく、かつ複雑なリスクプロファイルを伴うからだ」と、自動運転車の運用リスクに関するデータを保険会社に提供するスタートアップ、Simulyticの事業開発担当副社長ベン・ルイスは語る。「保険会社はこうした新しいリスクに慎重な姿勢で対応するだろうし、少なくとも当面彼らのリスクの引き受け意欲は、限定的なものになると思う」

オーナーからの反発

もうひとつの課題は、テスラのロボタクシーネットワークに参加する個人所有車の状態を、サービス開始時にどうやって良好な状態に維持するのかというものだ。ウェイモは、フェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルス、オースティン、アトランタで運用する約2000台のロボタクシーを、日中も定期的に拠点に戻し、充電や清掃、整備などを行っている。テスラは、これと同様の仕組みについて具体的な計画を明らかにしていないが、このような仕組みは、少なくとも一部の所有者にとっては不可欠なものと考えられる。

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長年のテスラオーナーであるローレン・マクドナルドは、「ドアの傷やホイールの擦れ、車内の汚れ、シートの劣化などが起こるとしたら、本当に我慢できない」と語る。「ロボタクシーネットワークに車を出すことは、理論的には経済的メリットがあるかもしれないが、うちの家族にとってはメリットよりもデメリットの方が大きい」と彼は続けた。

また、マスクは、テスラの技術は安価なデジタルカメラを主要センサーとして使っているため、LiDARやレーダー、サーマルカメラといった高額なセンサー類を用いるウェイモに比べて、大きなコスト優位性があると主張している。しかしこの点は、事故の発生時にテスラに不利に働くリスクがある。同社は、他社が不可欠だとするセンサーを採用しなかったことで、「安全性を犠牲にしてコスト削減を図った」と原告側弁護士に主張される可能性があるからだ。

「そんな主張が出ない方が驚きだ」と、QuantivRiskの創業者で弁護士のネルソンは語った。

(forbes.com原文)

編集=上田裕資

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