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2025.08.04 11:00

遊休不動産をテックで「再構築(Reborn)」。ククレブが描く企業と地方変革への道

日本企業が抱える約524兆円もの不動産資産。その中には、活用されずに眠る遊休不動産が膨大に存在する。これら遊休地をテクノロジーの力で再生、企業不動産の価値を再構築してみせようとするのが、ククレブ・アドバイザーズだ。創業5年で上場、勢いに乗る同社代表取締役の宮寺之裕(以下、宮寺)にビジョンを聞いた。


20年間手つかずだった、ある私鉄沿線の駅前。2023年、ここに新たに物流センターを中心とした複合施設がオープンした。半分は小売業の物流倉庫として、もう半分の路面サイドにはスーパーと医療クリニックが入居。これまで商業施設が少なかった駅前にはにぎわいが生まれ、地域住民からも喜ばれた。

施設誕生に貢献した、ふたつの不動産テック

この複合施設のオープンに大きく関与したのが、ククレブ・アドバイザーズ。2019年に創業、24年には東証グロース市場の上場も果たした。テクノロジーとコンサルティングを掛け合わせて企業不動産ニーズの見える化、売買と賃貸ニーズのマッチングを軸に事業を展開し、これまで光が当たりにくかった1,000~3,000坪のコンパクトな事業用不動産を中心に「CRE(コーポレートリアルエステート)」戦略を支援している。

施設オープン前の背景を、宮寺はこう振り返った。

「駅前の土地は陸運業の企業が所有する遊休地でした。私たちは自社開発の不動産テックツール『CCReB AI(ククレブ エーアイ)』で不動産の活用ニーズを把握し、遊休地の存在を知りました。さらに、企業不動産マッチングサービス『CCReB CREMa(ククレブ クレマ)』を通じて、同エリアに小売業企業からの賃貸ニーズがあることを知り、両社をつなげたのです」

プロジェクトのきっかけをつくったCCReB AIは、上場企業や有力非上場企業など約25,000社の不動産ニーズを分析して、スコア化するクラウドサービスだ。特徴は、企業が開示する中期経営計画などの定性的な経営戦略と、有価証券報告書の財務データなどの定量的な情報をベースにしている点で、ユーザーは自身でのデータの加工や分析をせずに企業の不動産ニーズを入手できる。特許取得の技術が用いられている。

一方のCCReB CREMaは事業用不動産専門の土地の売買や賃貸ニーズをマッチングするサービスだ。契約する不動産会社などが登録する情報は、市区町村、広さ、用途など最低限。情報の機密性を保ちつつ、登録から最短10分でマッチングさせ、スピーディに商談機会を創出するのが大きな強みだ。

だが、同社の役割はマッチングに留まらない。建設コストが高騰するなか、物流施設に強いゼネコンの選定やコストを抑える建材を提案。さらには行政協議のサポートまで担い、プロジェクトを完遂に導いた。そこには、宮寺が大手不動産会社で培った知見と経験が凝縮されている。

現場の違和感がビジネスチャンスになった

通常、CRE戦略の不動産コンサルティング企業は業務効率ゆえに大規模な案件に集中しがちで、小規模物件の活用に困っている企業は多くあるという。ククレブ・アドバイザーズはここに不動産テックを武器に市場を拓き、小規模CRE戦略の活性化に取り組もうとしている。それは宮寺の前職までの経験が大きく影響していた。

「前職でも事業用不動産の活用に関する事業に関わっていて、営業職としてお客様に向き合っていました。しかし、投資効率で考えると対象となるのは大規模な不動産ばかり。コンパクトな物件の活用にお困りのお客様がいても、なかなか支援が難しく、歯痒い思いをしました」

細かい案件にマッチングの労力を割き続けるわけにもいかない。デジタルで自動化できれば、もっと役に立てるのではないか。宮寺はそう考えるようになったという。さらに、現場ではある違和感も覚えていた。これが、ククレブ・アドバイザーズの創業を後押ししたという。

「日本の人口減少は明らかで、残念ながら国の競争力も落ちています。その状況でコストを削減しながら新しい建物を建て続けていくことが正しいのだろうかと思えてきたんです。一方、バブル期に建てられた建物は質のいい資材を使って立派に作られているものが多くあります。こうした建物をリノベーションで有効活用できれば、活用したい企業は必ずある。

昨今は企業のROE(自己資本利益率)への注目が高まり、不動産戦略の必要性を感じる企業も増えていますから、売買以外の選択肢を考慮するケースも多く、活用マッチングのニーズは非常に高いと考えられます。そこにビジネスチャンスがあるのではと思いました」

宮寺が2019年にククレブ・アドバイザーズを創業してから、その予測は現実となっていく。東京オリンピック開催に向けた建設需要のピークや、その後のコロナ禍を背景に、建築資材の価格は高騰し、建設現場では人手不足も深刻化。新たに建物をつくるハードルは上がり続けてきた。

今、ククレブ・アドバイザーズがターゲットとしている企業が積極的に探しているのは居抜きの倉庫や工場、社宅だ。自社に活用できていない不動産がある企業は、戦略的な活用を本格的に考える時期が来ているといえるだろう。企業がすでに持っている不動産をいかに活用するのか。宮寺が社名の由来にも掲げた『再構築(Reborn)』という構想が、いよいよ企業ニーズとも合致してきたのだ。

 分断された不動産情報をつなぎ、「眠れる不動産」を掘り起こす

ククレブ・アドバイザーズが次に見据えるのは、地方の不動産ニーズと都市部の企業とのつながりを生むことだ。これには、CCReB CREMaが大いに役立つ。

例えば、こんなケースがあった。岩手県のある企業が所有する不動産を、東京の企業が購入したという事例。岩手県の企業が「不動産を売却したい」と地元の不動産会社に相談し、買い手を探したものの地元では見つからなかった。

地方の不動産会社からすれば、できれば地元で取引を完結したい気持ちが働きやすいが、ある程度の規模の不動産となると、地元ではなかなか取引が成立しないことが多い。そこで不動産会社が東京の不動産会社に相談したところ、ククレブ・アドバイザーズにつながった。

「『CCReB CREMa』にこの岩手県の土地情報を入れたところ、岩手エリアで物流センターを建てたいと考えている東京の企業があるとわかりました。そこで二つの会社を結びつけることができたのです」

「地方の不動産価値は低いと思われがちですが、一概に言えません。北海道の千歳は半導体メーカーRapidus社の進出で価値が上がり、TSMC社が進出した熊本も同様です。日本はモノづくりの国であり、工場用地を探すなら必然的に地方が選択肢になります。

ただ、現状は地域ごとに不動産情報が分断されているので、『CCReB CREMa』を企業不動産の全国的なネットワークとしてさらに機能させたいと考えています」

そこで、システム導入を積極的に提案しているのが、地方の金融機関。地方企業の不動産の情報が集まる地銀にアプローチし、不動産情報のネットワーク形成を加速させていく。実際に、導入いただいた金融機関で、本社と地方支店の取引企業同士で売買ニーズがマッチングしたこともあり「企業内のCRE情報活用ツールとしても活用できる」などと、好感触なフィードバックがあったという。

CCReB CREMaは、ククレブ・アドバイザーズの自社ツールとしてだけでなく、不動産会社向けにサブスクリプション型でも提供されている。現在のユーザーは約470アカウント、登録件数は約6,600件を超え、過去2年間でその数は倍増した(2025年5月現在)。この急成長は、小規模CRE市場のニーズがいかに高いかを明確に物語っている。

宮寺は遊休地の活用については売買だけでなく、さまざまな選択肢があると語る。

「日本の中堅・中小企業にはCREという言葉の存在や不動産の戦略を形成する必要があるという認識がまだまだ薄いと感じます。単純に業績が悪くなったら不動産の売却を考えようという認識かもしれません。遊休地の活用方法は企業同士のマッチングだけでなく、さまざまな可能性があります。

例えば、壊す前の建物を展示スペースとして活用して、美大生の作品を展示するというアイデアもあります。不動産業界だけでなく、さまざまな業界の方と話しながら不動産の活用の選択肢を広げていきたい。企業不動産の資本効率化の流れはまだ始まったばかりです」

ククレブ・アドバイザーズ
https://ccreb.jp/


みやでら・ゆきひろ◎ククレブ・アドバイザーズ代表取締役。大手不動産会社、J-REIT運用会社で企業不動産(CRE)のソリューション経験を積む。企業の不動産流動化案件を数多く手がけ、2019年7月にククレブ・アドバイザーズを設立し、代表取締役に就任。不動産鑑定士。

Promoted by ククレブ・アドバイザーズ/ text by Kana Kubo / photographs by Yuta Fukitsuka / edited by Masako Kihara