欧州

2025.07.09 11:30

プーチン大統領に迫る国際刑事裁判所の手、逮捕を恐れ外遊を回避

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領。2025年6月22日撮影(Contributor/Getty Images)

ディッキンソンは、プーチン大統領が今回ブラジルで開催されたBRICS首脳会議への出席を求めた際、クレムリンはその要求を和らげた可能性が高いとみている。「クレムリンは今回、2023年に南アフリカに対して見せたようなあからさまな態度は取らなかっただろうと考えている。というのも、血も凍るような脅しをかければ、ロシアがかえって弱体に見えるだけでなく、悪い評判を招くことになるのを学んだからだ」

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プーチン大統領の戦争犯罪容疑を巡る逮捕要求を出す際、ICCの幹部は当初、被害者や証人、捜査を保護するため、逮捕状を秘密にしておくことを検討していたと明かした。しかし「現状で問題となっている行為は現在も継続中であるとされ、逮捕状を公にすることで、さらなる犯罪の抑止につながる可能性がある」ことを鑑み、「逮捕状の存在、容疑者の氏名、逮捕状が発行された犯罪を公表することは正義にかなう」と判断したと説明した。ディッキンソンは、プーチン大統領に対するICCの逮捕状は「同大統領がウクライナ侵攻で戦争犯罪の罪に問われていることを、常に喚起するものだ」と述べた。

ICCは、ウクライナ全土で民間人への大規模攻撃を共同で主導したロシアのセルゲイ・ショイグ前国防相やワレリー・ゲラシモフ参謀総長のほか、空軍と海軍の司令官に対する戦争犯罪容疑についても言及している。

今年4月、キリスト教で最も尊ばれる祝日の1つである聖枝祭の日、ロシア軍はウクライナ北部スミの教会に通う民間人を、弾道ミサイルとクラスター爆弾で攻撃した。6月にはロシア軍の武装ドローン(無人機)部隊が、ウクライナの首都キーウにある世界遺産、聖ソフィア大聖堂の外壁の一部を破壊した。

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ウクライナ正教会のイホル・マカル司祭は、ローマ教皇庁の公式ニュースサイトであるバチカン・ニュースに対し、1年で最も神聖な日にロシア軍がウクライナでドローン攻撃を開始したと述べた。マカル司祭はミサに向かう途中、自身の車がロシアのドローンの標的となり、爆発で吹き飛ばされたと証言。「車の窓が爆発で割れ、ドアとタイヤを貫通した」と語った。司祭は一命をとりとめたが、爆弾の破片を体内から除去するために病院に緊急搬送された。マカル司祭は「ここで暮らすのは本当に危険だ」と吐露しながらも、自身が果たすべき役割は苦境に立たされた教区民を守ることだと強調した。

こうした歴史的に貴重な宗教施設や信者らに対する攻撃が、ロシアの軍事・政治指導者に対する戦争犯罪の告発を一層招くことは疑いようがない。しかし今のところプーチン大統領は強硬な姿勢を崩しておらず、ICCからの非難にもかかわらず、ウクライナの文化的な聖地への空爆を激化させている。

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翻訳・編集=安藤清香

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