時代の変化に柔軟に対応し、“営業の新たな在り方”を実践する企業を選出するアワード「NEW SALES OF THE YEAR 2025」。そのグランプリに輝いたのが、NECネッツエスアイだ。
長年の課題だった収益性の低さを打破したのは、営業とマーケティングの知見を束ねた100人の新組織。顧客の上流に踏み込むコンサルティング営業の実現が、企業価値の再定義につながった。
営業の目的は単にモノやサービスを売ることではなく、顧客に価値を提供することにある。そのために営業組織を超えて他部門とも連携する必要があるが、まさに“全社営業”に取り組んでいるのがSIerのNECネッツエスアイである。
同社は1953年にNECの工事部門が分離して成立された経緯から、通信インフラのシステム構築を強みにしている。事業領域のキャッチフレーズは「海底から宇宙まで」。幅広い領域で通信・社会インフラを手がけるほか、近年はオフィスのネットワークなどのDX領域にも進出。NECによるTOBで2025年3月に上場廃止したが、直前の25年3月期第3四半期は売り上げ・営業利益とも過去最高を更新した。
今でこそ好調だが、同社を長年悩ませてきた課題があった。執行役員常務兼営業統括本部長の飯塚富男は「収益性の低さが課題だった」と明かす。
「公共的なインフラはお客様からのRFP(提案依頼書)どおりに提案することが基本。中身の差別化が難しく、入札制度のもとで価格競争になりがちでした。07年からソリューション営業に取り組んできたものの、お客様の期待を超えるところまでは到達できていませんでした」
RFP商談から抜け出すには営業を変革しなければならない──。その決意から改革に乗り出したのは19年。まず取り組んだのは、営業数値の可視化だった。
営業は数字の世界であり、以前から数字は追っていた。しかしその粒度は粗かった。同社の営業(フィールドセールス)が追っているのは受注額だけ。執行役員の藤澤幸太はこう解説する。
「部門や課では受注時にGP(粗利)を見ていましたが、アカウント単位では見ていなかったので、受注額が大きいお客様が実は収益が低く、それに気づいていなかったケースが多々あった。収益性を高めるには、お客様を収益でセグメンテーションするロイヤルカスタマー戦略が重要ですが、それができる状態ではなかった」
次のステップは、同社が「上流アプローチ」と呼ぶコンサル営業だ。真のロイヤルカスタマーを可視化しても、RFPを待つだけでは収益性が改善しない。顧客の上流にアプローチして潜在的なニーズを掘り起こすには、専門知識にもとづいた高度なコンサル力が要るが、当時のフィールドセールスにその知見はなかった。
コンサル営業の本格化
そこで21年に立ち上げたのがビジネスプロセスイノベーション推進本部(以下BPI)だ。同社の事業部側には、領域やプロダクトごとに販促やマーケティングを担当する人材がいる。それらを計60人引き抜き、営業部側のマーケ部隊と合わせて約100人の新組織をつくったのだ。
「お客様に未来像の提案をするには、プロダクト横断のアカウントプランが必要です。BPIは縦割りの事業部に横串を通して営業側で束ねる組織。コンサル営業の型をつくり、全国に900人弱いるフィールドセールスに展開していきました」(藤澤)



