2. 評判は、意識していないときに形成される
行動科学には「デフォルトモード」という概念がある。この状態では、脳は自動操縦で動いており、ほとんど考えることなく選択をしている。この状態は効率的ではあるが、社会的な振る舞いが惰性になるという落とし穴がある。
この自動操縦モードこそが、極限状況での失敗よりも評判を損なう危険性がある。なぜなら、人々が接しているのは意図的なあなたの姿ではなく、普段の無意識の振る舞いであるからだ。プレゼン中やピッチの場面だけでなく、メールを処理している合間、会議が始まるまでの待ち時間、そんな何気ない瞬間にこそ、本当のクセが出る。
だからこそ、自分の基礎的な習慣を点検する必要がある。誰かが話しているときにスマホを見ていないか? ビデオ会議で明らかな「ながら作業」をしていないか? 求められる前に人を褒めているか?
評判とは積み重ねである。相手の言葉を遮るたびに、たとえわずかでもそれが印象に残る。逆に良い印象を与えようと意識をしていれば、その度に信頼が積み上がる。
思慮深い人として思われたいのであれば、返答の前に一呼吸置く姿勢でそれを示すことが必要だ。頭脳明晰な人と思われたいなら、理路整然とした進捗報告などでそれを示す。人の話をよく聞く人と思われたいなら、自分ではなく相手が話す時間を意識して確保することが必要なのだ。
大げさな修正は不要である。ただ、少しだけ自分の「デフォルト設定」を調整すればよい。大きな変化ではなく、小さな意識的行動によってそれは成される。
3. 人はあなたがいないところであなたについて話す。語られる「素材」を良くしておこう
いずれ誰かが、あなたのことを他の誰かに話す日が来る。それは避けられない。問題は、その時にどのような話をされるかである。
あなたは、彼らがあなたの最近の成果を語ってくれると思うかもしれない。時にはそうだろう。だが多くの場合、人々が語るのはあなたと接したときにどう感じたか、である。信頼されたと感じたか。軽視されたと感じたか。元気づけられたか。ないがしろにされたか。それは、あなた次第である。
評判とは、社会的なものである。書類ではなく、会話によって広まっていく。人は、日常会話で履歴書の内容を引用しない。その代わりに、印象に残った瞬間を語るのだ。
だからこそ、どう記憶されたいかを先に決めておくと良い。そのうえで、そこに向かって逆算して行動するのだ。
一緒に働きたいと思われる人として語られたいなら、それはスケジュールが崩壊している火曜日の午後に、どんな振る舞いをしているかに表れる。おそらくそれは、プレッシャーの中で冷静さを保つこと、功績を他人に譲ること、状況を俯瞰して捉える姿勢、疲れている人に気づき声をかけることなどの行動として現れるはずである。
もしあなたがチームを率いているなら、こうした小さなふるまいが文化をどう形づくるかについて、積極的に語るとよい。「今週、仕事がしやすくなった小さな行動は何だった?」と問いかけたり、誰かが日常的なやり取りを丁寧にこなした例を共有したりすればよい。
こうした内省により、自然とマイクロレベルの気配りを文化として浸透させることができるのだ。
やがて人々は、あなたがどんな同僚なのかを推測する必要がなくなる。彼らはそれを知っているからだ。なぜなら、それを体験したからである。人々の記憶に残るのは、あなたの大げさなパフォーマンスではなく、誰も見ていないときのあなたの振る舞いなのである。


