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2025.07.10 10:00

AGIとASIは「人間の知能上限」という仮説の壁に突き当たる

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今回のコラムでは、人間の知能の本質に関する未解決の問題を考察する。この問題は、AI、特に汎用人工知能(AGI)の達成、さらには人工超知能(ASI)への到達の可能性と深く関わっている。この厄介な問題は、しばしば「人間の知能上限仮説」(human ceiling assumption)と呼ばれる。それは次のような問いである。

人間の知性が到達できる範囲には上限や終点が存在するのだろうか。それとも、人間の知性は果てしなく広がり、ほぼ無限の可能性を秘めているのだろうか。

この問題について論じていこう。

汎用人工知能(AGI)と人工超知能(ASI)への道

まず、この重要な議論の土台を整えるために、いくつかの基本的な事項を説明する必要がある。

AIをさらに進化させるための研究が数多く進められている。その全体的な目標は、汎用人工知能(AGI)に到達するか、さらにその先にある人工超知能(ASI)を達成する可能性を追求することだ。

AGIは、人間の知能と同等と見なされ、見かけ上は私たちの知能に匹敵しうるAIのことである。ASIは、人間の知能を超越し、ほぼすべての面で人間より優れているであろうAIだ。その意味で、ASIはあらゆる場面で人間を凌駕する思考力を用いて、人間を完全に圧倒できるとされる。

私たちはまだAGIすら達成していない。

実際のところ、私たちがAGIに到達できるかどうか、あるいはAGIが数十年後、もしかしたら数世紀後に達成可能になるのかどうかさえ分かっていない。巷で囁かれるAGIの達成時期は、信頼できる証拠や厳格な論理によっては全く裏付けられておらず、それぞれ大きく異なっている。ASIの予想に至っては、現在のAIのレベルからすれば、さらに論外だ。

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翻訳=酒匂寛

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