ビジネスの世界では、AI、特に生成AIの活用が今後の成功を左右すると言われている。では、この生成AI、実際にはどのくらい浸透しているのだろうか。ボストン コンサルティング グループ(BCG)が「AI at Work 2025: Momentum Builds, But Gaps Remains」を公開し、日本を含む世界11の国・地域におけるAI活用の実態が明らかになった。
レポートによると、日常的にAIを使う人の割合は、「インド」が92%でもっとも高く、「中東諸国」が87%、「スペイン」が78%と続いている。平均は72%で、日本は調査国・地域中最下位の51%で、他の国と比較してかなり差がつく結果となった。

一方、AI活用で自動化されることにより、雇用への影響に対する懸念について「今後10年で自分の仕事がなくなる可能性がある」と感じている人は「中東諸国」が63%、「スペイン」が61%、「インド」が92%とAI利用率の高い国が上位を占めていた。ただ、日本が4位で40%もの人が懸念を抱いており、AI利用率が最も低いにもかかわらず、雇用喪失への懸念だけは大きいという、いかにも心配性な国民性が浮き彫りになっている。

BCGはAI活用の促進にあたり、3つの施策を挙げている。
十分なトレーニングの提供
AIの使い方について「十分なトレーニングを受けた」と感じている回答者はわずか36%。特に、対面式かつ助言を受けられるコーチング形式で5時間以上のトレーニングを受けた人は、AIを日常的に活用する可能性がより高まる
適切なAIツールの提供
回答者の半数以上(54%)が「正式に許可されていなくてもAIツールを使う」とした。特にZ世代やミレニアル世代は、会社の許可がなくてもAIを利用しようとする可能性が高い。このように、従業員が無断で業務にAIツールを使用する「シャドーAI」の問題は、企業にとってセキュリティリスクの増大を招く

経営リーダーの明確な支援
一般従業員のうち、「自社の経営層はAIの使用に関して十分な指針を示してくれている」と感じている人はわずか25%となった。一方で、経営リーダーが積極的に関与している組織では、AIの利用率も、AIの影響に対し前向きな従業員の割合も明らかに高い傾向がある



