ビジネス

2025.07.09 12:00

かつてはバカにされた、グーグル「AIによる概要」がニュース業界の息の根を止める理由

Matthias Balk/picture alliance via Getty Images

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ある意味で、ニュース業界のビジネスモデルは数百年にわたり大きく変わってこなかった。だが、そのサービス提供の方法は、急速に時代遅れになりつつある。

近年、ニュースのパブリッシャーはネット上のトラフィック減少という不快なサプライズに見舞われている。これは大きな問題だ。なぜなら、彼らはすでに紙媒体からウェブへと方向転換を余儀なくされており、それ自体が困難な変化だったからである(新聞社などがその典型例である)。

そこへ、グーグルによる最近の検索モデルの変更が、こうした伝統的なビジネスにさらに追い打ちをかけている。

The Informationなど複数の報道によると、グーグルが従来の青いハイパーリンク型の検索結果(SERP)に代わる、AIによる検索メカニズムを導入したことで、トラフィックの低下などパブリッシャーが不利益を被っているという。

私たちはAIで検索するようになった

以前OpenAIのサム・アルトマンによる発言を取り上げたときにも触れたが、アルトマン自身も今ではGoogle検索の代わりにChatGPTを使って情報を調べているという。

その習慣が何百万人にも広がることを想像してみてほしい。ニュース業界にとっては恐ろしい状況である。私たちは、大規模言語モデル(LLM)の持つ力、すなわち、インターネット全体を数秒でスキャンし、集団的な知識をもとに回答を生成し、即座に答えを提供する力に夢中になっている。もはや面倒な「自分で調べる作業」は必要ない。

だが、それは従来のやり方に依存してきた人々にとって、犠牲を伴うものだ。

見え始めたトラフィックの減少

過去に収益モデルの転換を強いられてきたパブリッシャーたちは、今になってまた、可視性やコンバージョンのために使用していたインターネットフットプリントが以前ほどの効果を発揮していない現実に直面している。

TechCrunchのリベッカ・ベランは、ニューヨーク・タイムズのオーガニック検索トラフィックが減少したと報じている。たとえば、2024年4月時点でのオーガニック流入の割合は36.5%とされ、以前の44%から減少している。これは検索の減退を示すひとつの指標に過ぎないが、確かに現実に起きている問題を表している。

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翻訳=江津拓哉

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