マークの海への情熱は、幼少期からレイと一緒にダイビングをしながら育ったことに起因する。
「父と一緒に多くの時間をダイビングして過ごすなかで、私たちが海には何があるのかをほとんど知らないことに気づき、それをほかの人と共有する責任を感じるようになっていった。父はその情熱を共有してくれた」
米コネチカット州で育ったマークは、ナショナル・ジオグラフィック誌を経て、レイが所有していた海洋調査探査船アルシアに搭乗。アルシアの海洋探査を記録するプロダクションを立ち上げ、それがOceanXの設立につながった。
OceanXplorerは日本にも来ている。2012年夏、小笠原諸島の深海で約3mのダイオウイカを初めて撮影し、NHKの深海ドキュメンタリー番組『ディープ・オーシャン』で放映された。
OceanXは、最先端の科学技術とメディアを融合させ、深海の神秘を世界に伝えるという革新的なアプローチを取っている。世代を超えて、人々が「傍観者」としてではなく、科学者、ストーリーテラー、教育者などとして海と積極的にかかわる機会を創出することをも目指す。OceanX設立当時、レイ・ダリオは「海洋探査は宇宙探査よりもエキサイティングで重要だと信じている。私たちはそれを人々に示す使命を担っている」と述べている。
例えばマレーシアでは、2024年、パハン州政府やニューヨーク大学アブダビ校などと提携し、350平方キロメートル以上の海域をマッピングし、白化のストレスにさらされているサンゴ礁を調査し、生態系の健全性を長期的に追跡するための16の長期モニタリングステーションを設置している。収集されたデータは現在、マレーシアの継続的な保全活動を支援するために利用可能だ。
マークは海洋探査が人類のために担う役割についてこう語る。「海は、気象を調整し、気候変動のパターンを形成し、生物多様性を支え、数十億の人々を養うなど、私たちの生命を維持するうえで極めて重要な役割を果たしている。にもかかわらず、地球上で最も探求できていない領域だ」
マーク・ダリオ(写真左)◎OceanX共同創業者、元ナショナル ジオグラフィック番組プロデューサー。OceanX Mediaクリエイティブ・ディレクターでもある。
レイ・ダリオ(写真右)◎マークの父で著名投資家。自著には他に、全世界100万部の大ヒットセラーとなった『PRINCIPLES(プリンシプルズ)人生と仕事の原則』などがある。


