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2025.07.08 12:00

イスラエルはイランの「空の占領」に動くか 負担大きく危険な行動

イスラエルはすでに2024年10月26日、空中発射のスタンドオフ・ミサイルを用いた4時間にわたる空爆作戦により、イランの戦略防空網に相当なダメージを与えていた。十二日戦争では、イスラエル空軍の戦闘機はほとんど抵抗を受けずにイランの領空深くに侵入した。F-16のような、ステルス性能を持たない第4世代戦闘機ですらそうできていた。イスラエルは有人機を1機も失わず、無人機の損失もごく少数にとどまった。

「第三圏」から「第一圏」に転落したイラン

イスラエル国防軍(IDF)は長年、イランを「第三圏」の敵と位置づけていた。これは、イスラエルから国境を3つ隔てた地域にある敵対勢力という意味である。同軍は2020年に「戦略・第三圏総局」という部署も設立していたが、2025年3月に閉鎖した。イランの国営メディアはこれを受けて、イスラエルは「イランの軍事力と諜報能力に立ち向かえない」ことをみずからさらしたと時期尚早に誇った。

現実には、イスラエルは驚くほど効率的にイランの軍事力を圧倒し、諜報面でも出し抜いた。何十年とまでは言わずとも、何年もかけて周到に準備していたものの成果を、2週間足らずの間に見せつけた。イスラエル国防軍の情報部門「アマン」のシュロミ・ビンダー長官は戦争初期に、「1500kmも離れたイランを、第一圏にいる相手のようにわれわれが対処法を知っている軍事勢力に変えることに成功」していると述べたが、それは誇張でなかった。

ビンダーは「第三圏を第一圏に変えた」とも表現した。

こうした発言に加え、停戦後にカッツが脅威に対する「強制措置計画の作成」や「継続的な行動」を明言したことは、イスラエルが今後イランを、ヒズボラやガザ地区のイスラム組織ハマスと同じ「第一圏」の脅威として扱うつもりであることを示唆する。

イスラエルは、第一圏の脅威が存在する地域の上空に対してはかねて支配を保持してきた。ガザ地区に関しては、2005年に全軍を撤退させ、ユダヤ人入植者約9000人も退去させたものの、その後、空と海からの封鎖に踏み切り、批判者から別の手段で占領を続けていると呼ばれるような状態に置いてきた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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