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2025.07.11 08:15

AIによる動物視点で人間社会の真実を語る「いのしか新聞」

『いのしか新聞』より(note)

『いのしか新聞』より(note)

イノシシやシカなど、「有害鳥獣」とされる野生動物たちが、それぞれの目線と感性で人間社会の出来事に短評を加える有害鳥獣ニュース『いのしか新聞』が創刊された。動物たちの言葉が、なんだか妙に深い。

クラウドやITを駆使して有害獣の捕獲を効率化する有害獣捕獲情報システム「いのしかレコード」を提供するForex Robotics(フォレックスロボティクス)は、「野生動物と人間との接点をやわらかく伝える」ことを目的とした新聞の連載をnoteで開始した。

編集部には、編集長のヌッタロー(イノシシ)、記者の「ツノヨ」(シカ)とライラ(アライグマ)がいる。また、北海道には「カムイノカ」(ヒグマ)、関東の都市圏には「レイ」(ハクビシン)、西日本の水辺には「ヌートリアン」(ヌートリア)の各特派員が活動している。それぞれ独特なキャラでもって濃厚なコメントを付ける。

たとえば、「山の日ジビエキャンペーン」開催というニュースに対して、シカであるツノヨ記者は「葉陰に落ちる 影伸びて 獣の足音」という句をひねっている。

また、海で駆除されたヒトデを中部空港周辺の苗木の食害防止に活用するというニュースには、カムイノカが「人の跡。甘い匂い。蜂の巣は、カムイの怒りを表しとる。谷は眠り、また目覚めるおそれがある。道は変わる。風の音が、心に染み入る… また、誰かが訪れるだろうか」とコメントしている。人間に駆除され食べられる運命の動物にしか理解し得ない世界観。何を言わんとしているのか、にわかにはわからない。

『いのしか新聞』の仕掛けは、RSSフィード解析によって取得したニュースをAIが要約し、動物たち(生成AIキャラクター)のコメントを加えてMarkdownを使って記事化している。ここまではほぼ自動的に処理される。現在は自動投稿ができないnoteに連載されているので、生成された記事を唯一の「ニンゲン」スタッフが手動で投稿している。

動物記者たちはまだ仕事に慣れていないのか、一部トンチンカンなところも見られるものの、彼らの難解な言葉を考えるのが、この新聞の楽しみ方のひとつとなりそうだ。今後は、動物記者による「いのしかレコード」の紹介記事、鳥獣捕獲事業関係者の取材記事、捕獲罠メーカーとの連携記事、関係省庁との情報連携記事などを予定している。「関係者との対話のきっかけを育んでいきたい」とのことだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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