パナソニック社員22名による予備実験
共同研究の第一段階として、パナソニックホールディングス株式会社の従業員22名を対象に、1週間の予備実験が行われた。参加者は、出社時と退勤時に1日2回クイックBHQドックで測定を行い、職場ではKawaii環境づくりやコミュニケーションを意識した行動(Kawaii BHQ Actions)を実践した。具体的には「お気に入りのキャラクターのバッジを身につけたり出社や外回りを楽しむ」「カチューシャを身につけ仕事の相談をする」「Kawaiiグッズをデスク周りに置いてみる」などの行動だ。

© 2025 SANRIO CO., LTD. TOKYO, JAPAN 著作 株式会社サンリオ

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その結果、Kawaii導入前(介入前)は、月曜にBHQスコアが下がり、金曜に再度低下する傾向を示した。しかし、Kawaii導入後の1週間では、月曜からスコアが高く安定し、金曜に向けてさらに向上する傾向が見られた。

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本実験はあくまで初期的観察にとどまり、サンプル数は限られ、対照群も不在である。したがって「Kawaiiが脳を改善した」と因果を断定するには至らない。加えて、プラシーボ効果や「Kawaiiに注目している被験者」という意識がスコアに影響した可能性も否定できない。
しかし、職場での幸福感や気分の改善をもたらすなら、それ自体が健康的な価値を持つ。なぜなら、脳の健康は「数字」だけでなく、日々のこころと感性の豊かさにも支えられているからだ。
Kawaiiが脳健康と職場に好影響を与えるか
本研究は、現在20名以上の従業員を抱える企業を対象に参加を募集中だ。Kawaii BHQ ActionsとクイックBHQドックによる測定を多様な企業で実施し、脳の健康とKawaiiの関係の再現性を検証する予定だ。
職場でカチューシャをつけた上司が眼鏡の影から微笑みを浮かべ、デスクにそっと置かれたぬいぐるみが、会議の空気をふんわり和ませる。それを側で見る若手社員たちも、自然と表情が緩み、「この場は大丈夫だ」と安心する空気が生まれる──。
Kawaiiには、人を和ませるだけでなく、導入者自身に「場をつくれる」という小さな主導権と自信をもたらす二重の効能があるのではないか。もちろん、抵抗を感じる男性もいるだろう。しかし「Kawaiiが脳に効く」と科学的な可能性が示されれば、「ネクタイピンにKawaiiをしのばせる」「Kawaiiキーホルダーをビジネスバッグにつけて出勤する」男性が現れる日もあるかもしれない。
参考論文:Kokubun, K., Nemoto, K., Otsuka, T., Okamoto, M., Shiga, Y., Makizato, Y., ... & Yamakawa, Y. (2025). Kawaii-Ness Mediates Between Demographic Variables, Happiness, and Brain Conditions. Brain Sciences, 15(3), 289.


