待ち伏せ攻撃か実戦テストか
考えられる可能性のひとつは、シュライクとみられるこのドローンは渡河を試みるロシア兵を待ち構えていたというものだ。隠蔽方法として水中での待機が最適と判断されたのかもしれない。ただ、待ち伏せをしている間もドローンのバッテリーは徐々に減っていくので、電池残量が少なくなってきた時点で、敵の手に渡らないように操縦士が自爆させることを選んだのかもしれない(現在、一部のFPVドローンは手を加えようとすると爆発するように細工されているので、鹵獲されるのは必ずしも悪いことではないが、新型機を敵に入手されるのはやはり避けたいところだろう)。
あるいは、これはテストだったという可能性もある。潜水可能FPVドローンは、実戦環境で橋のような目標を攻撃できるのかという試験だ。この場合、操縦士は攻撃時の条件ができるだけシンプルになるように、あえてロシア兵がいないタイミングを選んで起爆したのかもしれない。
この攻撃に関してひとつ驚くべき点は、ドローンが渡河地点の下流側に配置されていたらしいことだ。普通、こうした渡河地点を攻撃するには、上流側に着水させ、水流を利用して目標に近づけるのが定石だ(ベトナム戦争中、米軍が浮体式爆弾を用いた橋梁破壊作戦「カロライナ・ムーン作戦」で採用したように)。上流側からのアプローチが何らかの理由で不可能だったのかもしれないが、操縦士はどうにかしてドローンを正確な位置につかせることに成功している。
この動画は、潜水可能ドローンが水面上や水面下の目標を破壊できることを示している。繰り返せば、丸太3本の破壊自体はたいした成果ではないかもしれない。だが、橋という最も難しい部類に入る目標を攻撃できる技術の実証に成功したことは、はるかに大きな意義を持つ。
今回は1機のドローンによる片道任務だったが、潜水可能ドローンは爆発物を設置して帰還し、また新たな爆発物を積んで設置しに行くという往復任務も可能かもしれない。実際、この戦争では地雷敷設ドローンも広く使用されている。複数のシュライクを用いて水中の同じ地点に爆発物を何個も運べば、空爆ですら難易度が高い橋脚のような重要目標に攻撃を加えられる可能性が出てくる。水中から無人潜水艇を進入させるよりも、空から潜水可能ドローンを向かわせるほうが、敵の防御をはるかに迂回しやすいかもしれない。


