NASAの科学者チームが最近発表した分析結果によると、地球の磁場(地磁気)強度の変動と大気中の酸素濃度の変動との間には、5億4000万年にわたる相関関係が存在している。地球深部のプロセスが、地表の生命の居住可能性に影響を及ぼす可能性があることを、この研究は示唆している。
地球の原始大気の主成分は二酸化炭素、窒素、水蒸気で、酸素をほとんど含んでいなかった。その後、24億年前から4億年前までの間に、酸素濃度が急激に上昇し始めた。その要因となったのは、おそらく火山性の脱ガス活動の活発化と、水を水素と酸素に分解する能力を持つ最初期の光合成微生物の出現だろう。
科学者は(縞状鉄鉱層などの)太古の岩石を分析することで、過去の酸素濃度を推定できる。なぜなら岩石の化学組成は、形成時に存在した酸素の量によって決まるからだ。
2024年に発表された論文(Nichols et al.)によると、地球磁場の最古の証拠は、グリーンランドに保存されている37億年前の岩石から得られたものだ。地球磁場の歴史は、磁性鉱物の中に記録されている。拡大する地殻プレートの隙間でマグマとともに上昇してくる鉱物が冷えると、鉱物がその場で固まることで周囲の磁場の方向と強度を保存する。
地球磁場の起源は、まだ完全には解明されていない。だが、地球の外核を構成する溶融した鉄ニッケル合金の内部で循環電流を発生させる地球ダイナモとして知られる作用によって磁場が生成・維持されると、広く考えられている。外核の流体は完全に安定しているわけではないため、磁場は時間とともに変動する。
NASAのゴダード宇宙飛行センター(GSFC)と英リーズ大学の研究チームは、独立した2つのデータセットの比較により、地球磁場が約5億年にわたって大気中酸素と同様の増減パターンに従っていることを初めて発見した。
今回の研究をまとめた論文の共同執筆者で、リーズ大の生物地球化学者のベンジャミン・ミルズは「この相関関係は、地球磁場強度と大気中酸素濃度の両方が根底にある単一のプロセスに反応しているという可能性を浮き彫りにしている」と説明している。



