宇宙

2025.07.05 14:00

地球上にある最大の「火星の岩石」が競売に 予想落札価格は2.9〜5.8億円

火星から飛来した隕石がオークションに(Shutterstock.com)

火星から飛来した隕石がオークションに(Shutterstock.com)

火星から飛来した重量24.67キロの隕石で、現在地球上に存在する「火星の破片」としては最大と思われるものが、7月16日に開催されるオークションで最高金額を入札した人物に売却される。このオークションを主催するサザビーズは、200万から400万ドル(約2億9000万〜5億8000万円)の値が付くと予想している。

サザビーズのオークションに出品される火星の岩石(スクリーンショット)
サザビーズのオークションに出品される火星の岩石(スクリーンショット)

「NWA(北西アフリカ) 16788」と呼ばれるこの隕石は、2023年11月にサハラ砂漠南部にあるニジェール共和国のアガデス地区で発見された。

「一世代に一度の発見」とサザビーズが称するこの隕石は、赤褐色をしたガラス質の融解被膜で覆われており、このことから、この隕石は小惑星が火星に衝突した際に吹き飛ばされたもので、鉱物の一部がガラス化するほど激しい衝撃だったことがうかがえると、サザビーズは説明している。

地球上で正式に認定されている隕石は7万7000個を超えるが、それらの中でも火星から来た隕石は400個ほどしかないという。

この火星の岩石は、7月16日にニューヨークで開催されるサザビーズの「自然史」オークションに出品される。予想落札価格は200万から400万ドルとされており、オークションで売買された隕石としては史上最高額になる見込みだ。

サザビーズの説明によると、現在、世界で知られている火星から来た隕石をすべて合計すると、重量はおよそ374キロほどになるという。NWA 16788は、これまで地球上で発見された火星の全物質の約6.5%に相当することになる。

サザビーズによると、北米で1年間に発見される隕石の数は15個ほどしかないという。

NWA 16788がオークションに登場する以前、これまで最も高値でオークションに出品された隕石は、2000年に中国新疆ウイグル自治区の阜康市付近で発見された「阜康(フカン)隕石」だった。石鉄隕石(金属部分と岩石質部分が半分ずつ混じりあう隕石)の一種で、岩石質部分にオリビン(カンラン石)結晶を含むこの隕石は、特に希少なパラサイト隕石に分類される。その推定年齢は45億年以上と、おそらく地球よりも古い。発見された総重量は1003キロだったが、それを420キロにスライスしたものが、2008年にニューヨークで開催されたボナムズのオークションに出品され、200万ドルを超える入札が予想されていたものの、買い手がつかず売却されなかった。

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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