アジア

2025.07.05 09:00

日本の「MAD」な国債市場、「マッドマン」トランプの新たな破壊に身構える

riphoto3/Shutterstock

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日本政府が3日に行った30年物国債の入札がうまくいったことで、世界の債券市場はひとまず安堵の息をついている。

うまくいくようにハードルが下げられていたとも言えるが、この1カ月半ほど、日本国債の入札はまったくもって悪い意味で世界の注目を集めていた。5月20日に実施された20年物国債の入札は需要が弱く、世界中の市場を動揺させた。

この入札では、応札倍率が2012年以来の低い水準だった。ちょうど、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策などのあおりで米国債の利回りも急騰していたこともあり、市場の反応は増幅されることになった。

ある指標では、この入札は1987年以来最も不調だった。平均落札価格と最低落札価格を示す「テール」が、38年ぶりの大きさに広がったのだ。さらに、日本政府が5月末に実施した40年物国債の入札も振るわなかった。

石破茂首相が同月、日本の財政状況は「ギリシャよりもよろしくない」と言ってしまったことも、日本にとって明らかにマイナスだった。日本はまたしても、ありがたくない格好で世界のニュースの見出しに飾られることになった。

だから今週、市場はいくらか安心したのだった。30年物国債の最新の入札は、応札倍率が3.58倍と2月以来の高さを回復した。

もっとも、日本の財務省は6月、入札が今後も不調になりかねないことから、国債発行額を減らす方針を明らかにしていた。2026年3月までに、20年物、30年物、40年物の国債発行額を合計で3兆2000億円削った。国債市場をさらに落ち着かせるため、日本銀行も「量的引き締め」(国債買い入れの減額)のペースを鈍化させている。

とはいえ、「不確実性の強気相場」とでも呼ぶべき先行きの読みにくさは、日本国債市場や米国債市場に限らず、あらゆる債券市場を悩ませている。トランプによる貿易戦争ははたして沈静化しつつあるのか、それとも逆にいっそう激化していくのか、誰にもわからないのだ。

来週9日、世界はトランプの「相互関税」に関する決定を固唾をのんで見守ることになる。敵味方を問わず、トランプが各国に課した大規模な輸入関税の一時停止がこの日に期限を迎える。債券市場の混乱は主に、関税が世界的にインフレを急激に高進させるのではないかという懸念に関連している。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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