転職市場で新たな動きが起きている。エン・ジャパン株式会社が転職コンサルタント174名を対象に実施した調査によると、71%が「異業種への転職を希望するミドル(30〜40代)人材が増えている」と回答し、業界を越えた人材の流動化が加速していることが明らかになった。
「今の業界が不安」68%が回答
ミドル世代が異業種転職を希望する最大の理由は「今の業界・会社の先行きが不安」で68%に達した。次いで「成長業界・給与相場の高い業界で働きたい」(40%)、「働き方(勤務時間、休日等)を変えたい」(29%)が続いた。
これらの結果から、単なる条件面の改善だけでなく、将来への不安が転職の大きな動機となっていることがうかがえる。業界の先行きに不安を感じつつも、培ってきた職種スキルを活かして別の業界で活躍の場を求める動きが広がっているといえそうだ。
複数業界間で活発な人材流動
業界間の人材移動パターンも興味深い傾向を示している。異業種転職者の出身業種として最も多いのは「メーカー」(68%)、次いで「IT・インターネット」(44%)、「流通・小売・サービス」(38%)だった。
転職先として多いのは「IT・インターネット」(62%)、「メーカー」(51%)、「コンサルティング」(47%)の順となっており、複数の業界間で活発な人材流動が起きていることがわかる。
具体的な事例として、メーカーから小売流通への転職では「原価管理の知識を活かせる」「製造元の知識をエンドユーザーに届けられる」といったメリットが挙げられた。また、メーカーからコンサルティング業界への転職では「現場の業務改善・工程改善の知見を活かして業務改革系コンサルに転身する」という事例も報告されている。
ほかにも、DX推進の流れを受けて「市役所勤務を経てITエンジニアとしてDXにチャレンジ」といったケースや、「これまでに培った管理能力を期待されて金融業界から商社やサービス業へ転職する」というケースなども見ることができる。



