欧州

2025.07.04 17:00

ウクライナ軍のドローン、たった1機で橋を破壊 「起爆装置」の本領発揮

ウクライナ軍のドローンによって爆薬が起爆され、破壊された橋(Xより)

起爆装置としてのドローン

というより、小型ドローンを起爆装置として用いる戦術を編み出したのは、そもそもロシアだったと言えるかもしれない。ロシアは2017年、ウクライナの弾薬庫を狙った一連のサボタージュ(破壊工作)攻撃でこうした手法を用いていた。そのうちのひとつ、ハルキウ州バラクリヤでの攻撃では、ロシアのドローンがテルミット焼夷手榴弾を投下して数千tにのぼる弾薬を破壊し、10億ドル(現在の為替レートで約1450億円)規模の損害を与えたと伝えられる。いまから振り返れば、これはのちの全面侵攻に向けて、ウクライナから重要な砲弾を奪う戦略的な行動だったのかもしれない。

advertisement

とはいえ、ドローンで「起爆装置を運ぶ」ことは細かい戦術的な行動としても行われている。たとえば、FPVドローンが戦車を「撃破」する場合、その損害のほとんどを直接もたらすのは実のところドローンの弾頭ではなく、その爆発をきっかけとした戦車内の燃料や弾薬による誘爆だ。ドローンの直撃を受けたあとに、戦車が派手に爆発・炎上して大きな火の玉に包まれることもあるが、それもそうした誘爆によるものである。

攻撃目標が砲システムの場合はそれがもっとよくわかることがある。北朝鮮から供与されたロシア軍のトラック搭載型ロケットランチャーが最近受けた攻撃は、まさにそうした例だった。トラックで輸送中、角度を下げた状態のロケットランチャーにFPVドローンが命中すると、装填されていたロケット弾の燃焼を引き起こし、うち1発は発射されて運転席を撃ち抜いた。その後、車両全体で大爆発が起こっている。空のトラックであれば、これほどひどい損害にはならないだろう。

advertisement

同様に、ウクライナが「クモの巣作戦」で駐機中のロシア軍爆撃機を攻撃した時も、FPVドローンの少量の爆薬は実質的に起爆装置にすぎなかった。もしこれらのロシア軍機に燃料やミサイルが積まれていなかったなら、被害は軽微で済んでいたかもしれない。だが、実際にはこれらの爆撃機は燃料が入り、巡航ミサイルを搭載した状態だったため、容易に爆発・炎上し、破壊されることになった。

ドローンの「起爆装置を運ぶ」能力は今後ますます重要性を増していくだろう。ドローン母機からFPVドローンを発進させることで数百km以上離れた目標を狙うような攻撃を含め、ドローンによる長距離攻撃が増えてきている。適切な条件が整っていれば、小型ドローンは起爆装置を運ぶだけで、最も頑丈なコンクリート構造物でさえ破壊できる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事