暮らし

2025.07.05 17:00

続ける努力が「続けられない理由」に、静かに進む燃え尽き症候群を防ぐ3つの習慣

Shutterstock.com

Shutterstock.com

自分が燃え尽き症候群(バーンアウト)に陥っているという気づきは必ずしも明確なものではないかもしれない。症状は一気に現れるとは限らない。

燃え尽き症候群は意欲や気分、あるいはかつて重要だと思っていた物事を気にかける能力の微妙な変化を通じて静かに進むことが多い。一夜にして、あるいはひどい日が1日あったために燃え尽き症候群に陥るとは限らない。ストレスが対処されないまま長引いた結果だ。

十分な休息もとらず、常にがむしゃらに前へ進んでいると燃え尽き症候群に陥っていることに気づくことが多い。「常に全力を尽くしていれば、やがて自分の望むところに到達する」という思い込みから燃え尽き症候群に至ることが多い。しかし、必要な休息をとらなかったり、境界線を引かなかったり、あるいは全力投球の止め時を知らなかったりすることは、実際には自分の生産性を最大化することにはならないということにあなたは気づいていないかもしれない。

むしろ逆効果になることもある。前に進み続けようとする努力そのものが、往々にして続けられない理由になってしまう。

休息を求める体からのシグナルを常に無視したり、疲労を一時停止の合図ではなく突き進む上での挑戦のように扱ったりすると、心身は徐々に機能しなくなる。その過程で自分の成長やウェルビーイングに注意を払わないようになり、代わりに倒れないことにひたすら集中するようになる。

だからこそ、燃え尽き症候群に完全に陥る前に初期の兆候に気づき、意図的な予防策を講じることが重要だ。

燃え尽き症候群予防に役立つ3つの習慣を紹介しよう。

1. 「ノー」と言う力を学ぶ

燃え尽き症候群は善意から始まることが多い。もっと力になりたい、もっと役に立ちたい、もっと信頼されるようになりたい、あるいはもっと成果を出したいと言って、より多くの責務を引き受けるようになる。これは無害に見えるかもしれないが、長期的にはこのように無理な拡大を続けると疲労困憊と燃え尽き症候群につながる可能性がある。

「ノー」と言うことを学んで境界線を引くことは、燃え尽き症候群を防ぐ最も強力な方法の1つだ。仕事であれ、私生活での人間関係であれ、自分の時間とエネルギーを注ぐのに真に値することを見極めることができる。この習慣は、あなたの心や気持ちの余裕を守るのに役立つ。

日本看護科学学会の英文誌に掲載された研究では、日本の大学病院に勤務する看護師長の自己主張と燃え尽き症候群との関係を調べている。

研究では170人以上の看護師長の自己評価を分析した。その結果、自分の自己主張に関する評価が低いほど燃え尽き症候群を経験する傾向にあることがわかった。

これは、境界線を引いて「ノー」と言う能力を含む自己主張が、特に大きなストレスがかかる職場において燃え尽き症候群を防ぐ重要な要素であることを示唆している。

次ページ > 休憩は自分の力を最大限発揮するために本当に必要なものだ

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事