製品そのものへの注力による強化戦略
当然ながら、製品においてもヴーヴ・クリコの地位をより確かなものにするための努力を怠らない。ラ・グランダム(偉大なる女性)といわれたマダム・クリコへのオマージュを込めて、メゾンの200周年である1972年に、本当に良質なピノ・ノワールがとれた年だけ特別に醸造する「ラ・グランダム」をローンチした。今年は、初回から数えて25番目のヴィンテージ「ラ・グランダム 2018」がリリースされたばかりだが、品格のある味わいは格別なおいしさだ。
「『ラ・グランダム』は、我々のメゾンにとっては最高級のプレステージ・キュヴェ。残念ながら、『ラ・グランダム』の売り上げに関して言えば、日本はまだトップではありません。だからこそ、その素晴らしさを知ってもらう機会をもっと積極的につくっていかなければならないと思っています」
同時に、長い歴史をもつメゾンだからこそ、常に革新的なシャンパーニュづくりにも挑んでいることを示してくれる商品もある。それが「ヴーヴ・クリコ リッチ オン アイス」だ。真夏の暑い日にプールサイドで氷を浮かべて飲むのにぴったりな、やや甘口に仕上げたシャンパーニュ。エキゾチックなトロピカルフレーバーと赤い果実とペパーミントの香りが調和した「ヴーヴ・クリコ リッチ ロゼ オン アイス」の2種類。新しいシャンパーニュのライフスタイルを生み出すために去年発売され、好評を博している。
また、マダム・クリコの精神をたたえ、受け継ぐ取り組みとして女性起業家を応援するアワードもすでに50年以上続けられている。
「メゾンで働いていると、1分1秒たりとも、偉大なマダムの思いを感じずにはいられません。それゆえ、メゾンの200周年である1972年から女性起業家を称える『ボールド ウーマン アワード』を始めました」
日本でも2023年にアワードが行われ、各界から大胆な起業家精神をもった女性たちが贈賞された。今年の夏には、過去2年間の受賞者が一堂に会するパーティを予定していて、受賞者同士のコミュニティを強固にしたいと願っているそうだ。こうしたイベントを通じて、ヴーヴ・クリコのスピリットを広く知らしめているのである。
最後にギャロからもらった名アドバイスを披露しよう。
「ヴーヴ・クリコはいちばん好きな人と飲んでください。分かち合う人たちが何より大切ですから」
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
https://www.mhdkk.com/
ジャン=マルク・ギャロ◎1964年生まれ。ルーアンビジネススクール卒業後、カルティエ、クリストフル、フェラガモにてマネジメント職を歴任。2003年にLVMHグループへ入社後、ルイナールのブランドマネージングディレクター、ルイ・ヴィトンの取締役社長、そしてフェンディのマネージングディレクターを務め、2014年より現職のヴーヴ・クリコ代表取締役CEOに就任。


