2.「最悪の日」を想定して備える
目標というのは、常にやる気がある状態を前提としている。一方のシステムは、実行する人物が「人間らしい存在」であることを容認している。
疲れ果て、ストレスに押しつぶされ、自分の未来についてまったく考える気になれない時でも効果を発揮するのが、最良のシステムだ。こうしたシステムは、その人の環境やルーティンに組み込まれていて、実行には最小限の意志の力しか必要としない。
「正しい行動」を、最もハードルが低い、簡単な行動にしよう。毎日書き物をする習慣をつけたいなら、ノートパソコンの画面で今書いているテキストファイルを開いておこう。運動をしたいなら、寝る前にエクササイズ用の服を用意しておくといい。もっと健康的な食生活をしたいのなら、毎週日曜日に、まとめて作り置きをしておこう。
このような下地を作っておけば、「やらないでいること」の方に抵抗ができるので、「最悪の日」であっても、行動できるはずだ。
3. 基本のアクションは、サボる気にならないほどささやかなものにする
大きな目標は、心の中に抵抗感を生む。本を一冊書き上げる、事業を成長させる、肉体改造を成功させるといった目標は、誰もが達成したいと思っているはずだ。だが、こうした目標は手に余るように感じられ、着手の先延ばしにつながってしまう。
一方でシステムは、サボるのも恥ずかしく思うほど小さなアクションに焦点を合わせている。具体的には1段落だけ書く、顧客へのメールを1通送る、10回スクワットをする運動を1セットだけやる、といったアクションだ。
それぞれの領域について、実行可能な中で最も小さなアクションを選ぼう。ビジネスの成長は、毎日1通、LinkedIn(リンクトイン)のメッセージを送ることから始まる。健康状態の改善は、通りの端まで歩いてみることから始まる。友達にテキストメッセージを送れば、その人との絆を深められる。
ハードルは、ちょっとバカバカしくなるほど低くしよう。一度始めれば、結果的にもっと多くのアクションを実行に移せることもしばしばあるだろう。例えそうならなくても、設定したシステムを維持できた、という成果は残る。
4. 結果ではなく、アクションを追跡する
目標を設定する人たちは、必要以上に結果を気にする。「目標の数値を達成しただろうか?」「まだ目標にたどり着けていないのだろうか?」
こうした自問自答によって、不安と失望が生まれる。すると、脳内の扁桃核と呼ばれる部位が活性化され、恐怖心に追われて行動するようになる。
システムを構築する者は、もっと良い方法を知っている。それは、自分が実際に行なったアクションを追跡する方法だ。「今日やるべきアクションを終えただろうか?」と考えるのだ。実にシンプルだ。人は、結果をコントロールすることはほとんどできないが、自分が行うアクションについては完璧に管理できる。
まずはシンプルな行動を追跡する、シンプルなシステムを作ろう。毎日やるべきアクションを完了したら、それぞれの日付に×マークをつけていくというものだ。
ダイエットが目標だとしても、何kgの減量に成功したかをカウントするのではなく、運動をしたかどうかを追跡しよう。ビジネスでも、収益ではなく売り込みの電話やメールの数を追跡するべきだ。SNSでも、フォロワーの数を数えるのではなく、自分が行なった投稿の数を追跡しよう。
たゆまずアクションを実行できれば、結果は必然的についてくる。繰り返し実行しているうちに、あなたの潜在意識はひとりでに自分を書き換えていくはずだ。


