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2025.07.03 10:00

テスラ、販売台数13%減と歴史的な落ち込み 反マスクの影響鮮明

Chris Allan / Shutterstock.com

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米電気自動車(EV)大手テスラは2日、第2四半期(2025年4〜6月)の世界販売台数は38万4122台だったと発表した。ファクトセットのデータで示されていたアナリストのコンセンサス予想である38万7000台を下回っている。

第1四半期をわずかに上回ったものの、44万4000台を販売した前年同期からは13%減となり、前年同期比としては過去最大の落ち込みとなった。

発表を受けて、テスラの株価は時間外取引で4%以上上昇した。ウォール街の弱気な予想を上回ったためだ。テスラ株は財務関連データ発表時に従来の常識に反して動くことが多い。株価は昨年12月につけた史上最高値から30%以上下落している。

四半期ごとの販売台数は重要な業績指標の1つだ。今回の発表は、同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)と最近まで親しい関係にあったトランプ大統領の対立が激化している中でのものだ。昨年の米大統領選で2億ドル(約290億円)以上を投じてトランプを支援したマスクは、上院が1日に可決したトランプの歳出法案を声高に批判した。これを受けてトランプは、米国の市民権を取得しているマスクの国外追放を「検討する」と述べ、マスクが経営するテスラと宇宙開発企業スペースXへの政府補助金も見直す考えを示した。テスラの株価は1日に5%下落し、3週間以上ぶりの安値となった。今年に入ってからの下落幅は20%を超える。

テスラの2025年上半期の販売台数は2023年同期比で13%減となる。これは消費者がマスクに対して反発を強めており、テスラの人気にも影響を及ぼしているためだ。

フォーブスが6月26日に報じたように、マスクはテスラの北米・欧州事業の責任者オミード・アフシャーを解雇した。米ブルームバーグ通信はマスクが米国と欧州での販売を直接統括することになると報じており、販売台数減の深刻さを示すものとなりそうだ。

世界一の富豪であるマスクに対する消費者の反発が強まり、またマスクが右派寄りの政治観を示すにつれてテスラの販売は低迷し、同社は厳しい状況に置かれている。同社の欧州での販売台数は今年1〜5月に軒並み減少し、主要市場である中国と米カリフォルニア州での販売も落ち込んだ。中核事業である自動車販売は苦戦しているが、先月米テキサス州オースティンで待望の自動運転タクシー(ロボットタクシー)のサービスを限定的に開始するなど、人工知能(AI)の分野では前進している。

テスラは2日、今月23日の市場終了後に第2四半期決算を発表すると明らかにした。コンセンサス予想では売上高と純利益は2桁の減少となり、1株当たり利益は前年同期比15%減の0.44ドル、売上高は同12%減の228億ドル(約3兆2840億円)とみている。

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forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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