世界的なウイスキー市場の今を紐解く
グローバルなウイスキー市場はどのようになっているのであろうか。「標準的なブレンデッドウイスキーが低調なのに比べ、シングルモルトの売上は好調です。これは、世の中がますます忙しくなっている今の時代、飲むときにはいいものを飲みたいというトレンドの裏付けでもあるのでしょう」

同時に、カクテルが引き続き多く飲まれていて、その需要も大きいという。優秀なバーテンダーの数が増え、彼らの力量が上がり、クリエイティヴなカクテルで皆を喜ばせているのだ。
また、グローバル市場を考えたとき、大きなポテンシャルを持ち、今後伸びていくであろうと思われるのが、日本、韓国、中国のアジア勢だという。
世界的にも人気の高いジャパニーズウイスキーに関してはどのようにとらえているのだろうか。
「日本のウイスキーはこの10年、15年非常に伸びています。それを牽引してきたのが、『山崎』でしょう。アメリカ、ヨーロッパでも文化的に浸透していて人気がありますね。でも、実はスコッチとも深い親交があり、前出のビル・ラムズデン博士は、日本のウイスキーへのオマージュとして、『グレンモーレンジィ トーキョー』を造り上げました。両者はいい意味で影響し合っているのです」
日本のマーケットには大きな伸びしろがあるとのことだが、そうした市場において、どのように戦っていくのだろうか。
「伸びしろがあるからといって、12年前から生産量が決まっているものを、急に増やすことはできません。ただ、グレンモーレンジィをまだ口にしたことがない人達にひとりでも多く親しんでもらいたいというのが、我々の願いです。そこで、例えば、こんなキャンペーンを手掛けています。ハリソン・フォードをハイランドの雄大な自然の中に招待し、ひとりの真のシングルモルト好きとして、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・スコットランド』というショートムービーを作りました」

なぜ、ハリソン・フォードだったのだろうか。
「ハン・ソロであり、インディアナ・ジョーンズであることはもちろん、彼は本格派のスコッチウイスキー好きであり、非常に信頼性が高い。本当に好きなものでなければ、自ら映画に出るようなことはないことを、皆知っている。古城の暖炉に火をくべ、キルトスカートを履いてグレンモーレンジィをゆっくりと傾ける姿は胸に染み入る。それでいて、折々に見せてくれるユーモアたっぷりのしぐさにも魅了される。そんなキャンペーンを観たら、必ずやグレンモーレンジィが飲みたくなるはずです」


