AI

2025.07.04 13:00

「人工皮膚」をもつ世界最強クラスの人型ロボット、5年以内に500万台出荷へ 独企業から

David Reger, CEO and Founder NEURA Robotics with 4NE-1(C)Neura Robotics

しかし、このようなハードウェア面の取り組みは注目を集めやすいが、より重要なのはバックエンドの技術かもしれない。

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その一つが、NeuraのOmnisensor(オムニセンサー)と呼ばれるテクノロジーだ。この技術は、4NE-1が自分の現在位置や周囲の人や物との距離、そして必要なものへの到達方法を把握することを可能にするもので、7つのカメラやLiDAR、マイクから収集した位置データや空間認識を統合している。

ロボットの「スキル」のアプリストア

このような機能の実現のためには、非常に高度なオンボードテクノロジーが必要となる。レーガーは4NE-1に搭載されたCPUやGPUについては明言しなかったが、Neuraはエヌビディアと提携しており、両社はロボットがタスクを学習し、能力を習得するための「ロボットジム」でも協業している。

さらに、Neuraのロボットの展開を支えるのがNeuraverseと呼ばれるエコシステムだ。これは、ロボット開発者同士がスキルや機能、マイクロサービスをやり取りできるアプリストアの役割を果たすもので、誰もがこのプラットフォーム上で機能を開発して、販売したり無料で配布したりできる。また、ロボットを活用する企業や開発者は、たとえば特定部品の溶接や製品組み立てなどのスキルを、有償や無償で手に入れられる。

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David Reger, CEO and Founder NEURA Robotics(C)NEURA Robotics
David Reger, CEO and Founder NEURA Robotics(C)NEURA Robotics

「私たちは、人とロボットの関係性を根本から変えようとしている。Neuraverseは、すべてをつなぐ製品であり、ロボティクス時代のOSだ」とレーガーは語る。

Neuraはまた、MiPaと呼ばれる家庭向けの車輪付きロボットも発表した。これはヒューマノイドよりも手頃な価格の製品で、一般家庭をターゲットにしたものだ。同社はこのロボットを特に、自宅で自立した暮らしを続けることを望む高齢者を意識して設計したという。

NeuraはMiPaを「日常生活で本当に使える、世界初の認知機能を持つ家庭サービスロボット」に位置づけている。このロボットは掃除機がけや食器洗浄機からの食器の取り出し、部屋の片付け、健康状態のモニタリングなどが可能という。さらに、IoT機器や健康機器のための標準規格にも対応しており、ユーザーが装着したウェアラブル機器と連携して、データ収集や睡眠の分析なども行えるという。

またMiPaも他のNeuraのロボットと同様にNeuraverseに接続されており、他のロボットから瞬時にスキルを学習することが可能だ。

Neuraは今、ますます競争の激しさが増しているヒューマノイドの市場に新たに加わろうとしている。この分野では、安価で性能が高く信頼性の高いロボット労働力の実現が期待されながらも、いまだに本格的な普及は始まっていない。しかし、4NE-1はそのような状況下で特に注目すべき存在だ。

このロボットの性能が、Neuraが掲げる「世界最高性能のヒューマノイド」というビジョンに沿ったものかどうかは、まだ判断できないが、有力な候補であることは間違いない。米国のヒューマノイド大手Apptronik(アプトロニック)のCEO、ジェフ・カルデナスは、この分野の競争を1960年代の宇宙開発競争に例えたが、ドイツを拠点とするNeuraは、欧州を代表するプレーヤーだ。

ただし、4NE-1がどのように歩き、動くのかを示す映像はまだ公開されていない。同社のヒューマノイドの実用性を評価する上で、それらは今後極めて重要な要素となる。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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