ドイツを拠点とするロボティクス企業Neura Robotics(ニューラロボティクス)は6月24日、ヒューマノイド(人型ロボット)の「4NE-1」の第3世代モデルを正式に発表した。同時に、家庭向けロボットのMiPa(ミパ)やオープンロボティクスエコシステムのNeuraverse(ニューラバース)、さらにロボット向けアプリストアの構想も披露した。
4NE-1は、非常にパワフルでありながら繊細な動作が可能で、筆者が知る限りで他のどのヒューマノイドよりも重い荷物を持ち上げられる一方で、人からの接触を感知できる。
Neuraはさらに、2030年までにさまざまな種類のロボットを合計500万台出荷する計画を明らかにした。これは、米国大手のFigure AI(フィギュアAI)が掲げる4年間で10万台という目標を大きく上回る台数だ。4NE-1の初回出荷分は、今年中に納品予定という。
「私たちは一連のロボットのローンチに非常に興奮している」と、NeuraのCEO、デイビッド・レーガーは先日のポッドキャスト番組『TechFirst』で語った。「新たな製品にはMiPaという家庭向けロボットや最新版の産業用ロボットが含まれる。しかし、私が最も重要だと考えているのは、すべてを統合的に管理してスケーラブルな形で500万台のヒューマノイドを出荷するためのプラットフォーム、Neuraverseだ」
一方、ハードウェア面での最大のニュースは4NE-1の本格的な製品化で、レーガーによるとこのロボットはすでに量産可能な状態にあるという。4NE-1は非常に強力なヒューマノイドで、脚で100キロ、腕では10キロまでの荷物を持ち上げられるという。このロボットは、3月に予告されていた。
Neuraが開示した仕様を見ると、4NE-1はテクノロジー面でも先進的な製品で、7つのカメラとLiDARなどのセンサー類を搭載し、交換可能なバッテリーにより「24時間365日、途切れることのない運用」が可能という。さらに、後方宙返りが可能だとされているが、このことはボストン・ダイナミクスの製品を思い起こさせるだけでなく、動作性能の高さを示唆している。
さらに、4NE-1はヒューマノイドとしては初めて人間の皮膚を模した人工皮膚(スキン)を持つロボットの一つになる予定だ。Neuraはこのスキンに関してあまり多くを明かしていないが、スマートフォンの画面のような静電容量式のタッチセンサーを搭載すると見られている。このパーツは、接触の前ぶれや実際の接触、さらに強さを検知できるという。また興味深いのは、このパーツがスプレーを塗布されており、見た目にはロボットの他の部分と区別がつかないようになる点だ。このスキンは全身を覆うものではなく、主に手や腕、胴体などに適用されるという。
なぜロボットに「皮膚」が必要なのか?
この人工の皮膚は、Neuraが目指す「人間とロボットが至近距離で安全に共に働く未来」の実現のためにきわめて重要な要素になるという。
「このスキンは、当社のロボットの最大の強みになる」とレーガーは述べている。「ロボットが触れるという感覚を持つことで、これまでのロボットとはまったく異なるかたちで、人間と関わることが可能になる」と彼は説明する。4NE-1のスキンは、実際の接触よりも前にそれを感知可能だという。これにより、より安全で正確かつ繊細なやり取りが可能になる。