AI

2025.07.08 08:45

「GPTが御社名を回答」が市場を制す 急げ、SEOから「LLMO」へ

Shuttterstock

LLMO時代には、人々の検索行動が変わり、マーケターが追うKPIも変わってきます。現在の検索行動は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンにキーワードを入れて検索をすることが主流です。よって、キーワードの検索エンジンでの上位表示、そして検索エンジンからの流入数が極めて重要になります。

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しかし、AIチャットとの対話を通して情報を探索していく検索行動では、検索キーワードの概念はなくなり、自然言語で質問が行われます。AIはウェブサイトへのリンクを返すのではなく自然言語で回答を行うため、ウェブサイトへの流入は一部の引用リンクへの流入を除けば、ほとんど発生しなくなります。

そんな検索行動が主流になる状況では、検索エンジンでの上位表示や流入数ではなく、「AIに言及されること」が重要になるでしょう。

先日、デザイン会社であるGoodpatchの土屋尚史CEOがXでこんな投稿をされていました。

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「この数カ月でChatGPT経由の問い合わせが数件入ってる。ある大手企業のCMOから直接Linkedinで連絡があり、商談したときにどうやって弊社の事を知ったんですか?って聞いたらChatGPTに聞いたら出て来ましたと言われ驚いた」

AIに言及されることが企業の業績に影響を与えるという世界は、すでにやってきています。

こうしたなかで、AIによる情報生成プロセスにおいて、自社が「選ばれる」存在になることが重要で、具体的には、AIが回答を作るプロセスにおいて適切に自社の情報を学習させる必要があります。具体的には、AIの事前学習データにエンティティ(特定の企業や製品などの固有名詞)を認識されることや、RAG(検索拡張生成=外部情報を検索して回答の精度を高める手法)と呼ばれる仕組みで、AIがリアルタイムに情報を参照する際に自社の最新かつ正確な情報を参照・活用してもらう必要があります。

よりイメージを掴んでもらいやすいように、海外の事例をご紹介します。

LLMOを体現する、米国家具ブランド「ハーマンミラー」

Ahrefsが紹介している米国の家具ブランドである「ハーマンミラー社」の事例は、LLMOによってブランドがAIに推奨される仕組みを具体的に示しています。AIチャットボットの一つであるClaudeに「姿勢を改善するのに良い椅子はどれか」とユーザーが質問したところ、ハーマンミラーの製品が有力な選択肢として提案されました。 これは、ハーマンミラーというブランドの「姿勢の改善」というトピックがLLM内で非常に強く結びついているためです。

この強固な関連性は、同社によるPRへの戦略的な投資によって築かれました。Ahrefsの記事によると、ハーマンミラーは過去1年間だけでも、Yahoo、CBS、CNET、The Independent、Tech Radarといった影響力のある多数のメディアにおいて、「エルゴノミクス(≒人間工学)」というキーワードを中心とした記事で273ページにも及ぶインターネット上の露出を獲得しています。

人間工学は、人間がより快適で使いやすく、安全に作業や活動ができるよう、人間の特性に合わせて製品や環境を設計・改善する学問分野です。その分野とハーマンミラーをさまざまな手法で紐づけたことで、LLMに「姿勢を改善するのに良い椅子は、ハーマンミラー」という想起を獲得することができました。

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文=竹内渓太 編集=露原直人

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