トランプ米大統領とかつての盟友のイーロン・マスクの対立が再燃した。7月1日、世界一の富豪であるマスクは、大統領の目玉政策である大型減税法案に賛成票を投じた共和党議員らを落選させるために、来年の予備選で対立候補を支持すると宣言した。これを受けてトランプは、報復措置としてマスクの企業が受けている政府の補助金を撤廃すると警告した。
イーロン・マスクが大型減税法案への攻撃を再開
マスクは米東部時間6月30日夜から1日朝にかけてのX（旧ツイッター）でこの歳出法案を非難し、「もし、それが私がこの世で最後にやることだとしたら、政府支出の削減を掲げて選挙運動をしたにも関わらず、この史上最大の債務の増加につながる大型法案に賛成票を投じたすべての議員を、来年の予備選で敗北させる」と投稿した。
さらにマスクは、「この狂った歳出法案が可決されたなら、翌日には『アメリカ党』が結成される」と述べて、民主党と共和党が実質的に一体化した、「共和・民主統一党」と彼が呼ぶ体制を批判した。
彼はまた「支出の削減を公約に掲げて選挙運動を行いながら、史上最大の債務上限引き上げに投票し続ける者は、来年の予備選挙でこのポスターに自分の顔が載ることになるだろう」と述べて、LIAR（嘘つき）という大きな文字が書かれたピノキオのポスターの画像を添えた。そこには「アメリカの債務を5兆ドル（約714兆円）増やすことに賛成した」というキャプションが添えられていた。
Anyone who campaigned on the PROMISE of REDUCING SPENDING , but continues to vote on the BIGGEST DEBT ceiling increase in HISTORY will see their face on this poster in the primary next year pic.twitter.com/w13Qkm2e1A
— Elon Musk (@elonmusk) July 1, 2025
マスクはさらに、先月の大統領との衝突のさなかにXのアンケート機能を使った投票結果（訳注：調査会社などは利用していない）を再投稿し、「VOX POPULI VOX DEI（民の声は神の声）――80％が新党を望んだ」と書いた。
1日の早い時間にもマスクは共和党と歳出法案を攻撃した。「債務の上限を史上最大の5兆ドルにも引き上げるこの狂った法案を見れば、我々が一党独裁国家に住んでいることは明らかだ。まさにポーキー・ピッグ党だ！」と彼は投稿した。
「マスクは事業を畳み、南アフリカへ帰ることになるだろう」とトランプ
トランプは、自身のSNSのトゥルース・ソーシャルの投稿で、マスクからの批判に反応して、彼が率いる企業に対する政府の補助金を撤廃する可能性を示唆した。「イーロン・マスクは、私がEVの義務化に強く反対していたことを、私を熱烈に支持する前から知っていた。EVの義務化は馬鹿げたことだ。その主張は、私の選挙運動の重要な柱だった」と彼は述べた。
トランプはさらに、「イーロンは、史上最も多くの補助金を受け取っている人物かもしれない。補助金がなければ、マスクは事業を畳み、南アフリカへ帰ることになるだろう。ロケットの打ち上げも、衛星も、電気自動車の生産も全部おしまいだ。そうすれば、我が国は莫大な費用を節約できる」と続けた。
