戦争は激しさを増し、経済は不安定になっている。世界は私たちがついていけないほどの速さで移り変わっている。そして残念なことに、そのスピードが衰える気配はない。
不況や新型コロナのパンデミック、紛争、社会不安などで恋愛関係の満足度が急激に下がることがこれまでに示されてきた。このような時に人々は通常、愛が避難所のようなものであることを期待するが、カップルの双方が完全に打ちのめされるとその避難所が崩れ始めることがある。
だが新しい研究によると、恋人との関係が世の中の混乱の巻き添えになる必要はないという。実際には、恋人とつながっていることが落ち着きを保つ最善の策かもしれない。
不確実性が恋愛関係に影を落とす理由
意識している人は少ないかもしれないが、世界的な不確実性は心の余裕を枯渇させることがある。そしてこの疲弊を単に時代を映し出しているものと勘違いすることがあまりにも多い。そうあってはならないが、こうした緊張は放置されがちだ。
残念なことに、恋愛関係が真っ先に影響を受けることが多い。
専門誌『Journal of Social and Personal Relationships(ジャーナル・オブ・ソーシャル・アンド・パーソナル・リレーションシップス)』に2021年に掲載された研究ではパンデミックの初期段階から数カ月間にわたってカップルを追跡した。この時期は健康やキャリア、家族、家計、日常生活など生活のほぼすべての面が漠然としていた。
研究では、この慢性的な不透明感が精神的苦痛をかなり増大させたことが明らかになった。
当然ながら、ストレスでこれほど摩耗すると恋愛関係を維持する上で最も基本的なこともできなくなる。自分のことすら手が回らない状態では忍耐力を持ち、相手に共感することは難しい。
予想できることだが、ストレスレベルが高いほど関係に対する満足度は低くなることが研究で示された。試練時に関係は安らぎをもたらすどころか、感情面での緊張を生み出す新たな要因になった。
これは全身的なストレスがもたらす多くの症状のひとつにすぎない。カップルのどちらかまたは双方が圧倒されていると感じると、真にお互いを気遣うのに必要な感情面のリソースが不足する。
重要なのは、こうした衰退は必ずしも憤りや愛情の欠如によるものではないということだ。不確実な時代には、世界中で起こっているすべてのことから目をそらす余裕がない。その結果、自分と身近な人の内部で起こっていることを見失ってしまう。



