暮らし

2025.07.08 17:00

混沌した時代、恋人と「心の拠り所」を築き乗り越えるには

ModernewWorld / Getty Images

「共有された現実」が関係を支える

前述の研究を踏まえると、混沌しているときに冷笑的になるのは仕方がないと思えるかもしれないが、カナダのマギル大学の2025年2月の研究は希望を与えてくれる。専門誌『Journal of Personality and Social Psychology(ジャーナル・オブ・パーソナリティ・アンド・ソーシャル・サイコロジー)』に掲載されたこの研究では、「共有された現実」を共に作り出しているカップルは、疑念が渦巻く時代にあっても不確実性を感じることがはるかに少ないことがわかった。さらに重要なことに、そうしたカップルは自分たちの人生に多くの意味を見出してもいるという。

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「共有された現実」とは、簡単に言うと自分たちの人生で起こっていることについてカップルが共有している理解のことだ。周りで展開される出来事を見て、ふたりが同じように解釈する。恐ろしいもの、混沌としたもの、喜ばしいもの、あるいは単に目立たないものなど、出来事の性質にかかわらずふたりは一緒に出来事を解明し、意味を把握する。

こうした「共有された現実」は多くの方法で作られる。いろいろとあった一日の終わりにカップルが互いに感情を吐き出すという形態が取られるかもしれない。戦争で家を追われたパレスチナ自治区ガザ地区の人々、強制送還で引き裂かれた家族、あるいは自然災害の映像を端末で次々に見るという形かもしれない。

ある人はスマホを置き、ため息をつきながら「ニュースが次から次に流れる。自分にできることはただここに座って、何もせずに事の成り行きを見るだけだと感じている」と言う。

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この人は、今多くの人々がそうであるように、どうしようもなくもどかしいとしか言いようのないものを経験している。世界は崩壊しつつあるのに、自分には何もできないという感覚だ。

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翻訳=溝口慈子

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