自動車はテクノロジー産業の未来を担う領域になりつつある。Googleは何年もの間、自動運転カーに取り組んできたが、Appleも自動運転車のテストを行っていることが明らかにされている。
しかし、この分野の特許件数で大きくリードするのがサムスンだ。調査企業SmartUp Legalによると、過去10年の自動車関連の特許はサムスンが510件、Googleが308件、マイクロソフトが222件、Appleは83件にとどまっている。
サムスンの自動車特許の多くはバッテリー技術関連だ。サムスンSDIと呼ばれるリチウムイオンバッテリー部門を2000年に立ち上げて以来、BMWの電気自動車のi3やi8に提供している。
自動車関連の特許ではナビゲーションとデジタルデータ処理に関わるものが重要だ。ナビゲーション分野で最もリードしているのがGoogleで、最も出遅れているのがAppleだ。
テック系企業の自動車関連の特許獲得競争は2013年に始まり、Googleとサムスンは毎年2倍近いペースでその件数を増やしてきた。前出のデータ調査会社SmartUp LegalのCMO、ミカエル・アバデは「出願件数から考えると、2年に以内にGoogleがサムスンを追い抜くだろう」と述べている。
もちろん、これらの数字はフォードなどの大手自動車メーカーの特許件数とは比べ物にならない。フォードは既に数千の特許を取得しており、毎年数百の新たな特許を取得している。ある企業が特定の領域の特許出願を増加させ始めるとしたら、その市場に興味を持っていることの証明だと言える。
「Appleがクルマを開発しているとの噂もありますが、特許件数を見るとAppleが自動車開発に興味を持っているようには見えません」とアバディは言う。
「Appleが市場に参入する時は数百の特許を取得します。彼らは自社でクルマを作るよりも、自動車メーカーと協業してうまくやりそうに見えます」
AppleやGoogleとは異なり、サムスンは自動車にユーザインターフェイスを供給するだけのポジションには見えない。彼らは自動車メーカーのニーズを探り出し、ユーザーに技術を提供する機会を伺っているのだ。
例えば、車のフロントガラスに張る、透明なヘッドアップディスプレイの特許がある。このディスプレイを使うとドライバーはかかってきた電話やテキストの内容、地図情報をその場で確認できる。
サムスンは電気自動車メーカーに対するバッテリー供給業者であるが、過去には自動車製造も手がけた。1994年にサムスンモータースを創業し、日産と組んでセダンのSM5を1998年に販売した。しかし、その後のアジア通貨危機によりサムスンはその部門の株式の7割をフランスのルノーに売却した。
同社は現在もルノー・サムスン・モーターズとして生き残ってはいるが、売上は芳しくない。