投資家が女性経営者に目を向けるべき理由
こうした状況に注目すべきなのは、ベンチャーキャピタルだけではない。投資家はタイプを問わず、誰もが関心をもつべきだ。エンジェル投資家からクラウドファンディングのプラットフォーム、企業の取締役会、銀行にいたるまで、投資家はみな、女性経営者を支援することで驚くほどのリターンを得られる可能性がある。投資額が1000ドル(約14万3000円)だろうと100万ドル(約1億4300万円)だろうと、大切なのはどこにお金を投じるかだ。
投資先をほんの少し変更するだけでも、大きな波及効果を生み出せる。これまで指摘されてきたように、女性経営者たちは調達資金が増えると、それをコミュニティに再投資したり、雇用を創出したり、持続可能性な形で優れたビジネスを展開していく傾向がある。単に儲かるだけではない。地元コミュニティから世界市場に至るあらゆるレベルで、より強くより包摂的な経済が築かれていくのだ。
女性への投資を怠ることで、公平性が損なわれるばかりか、経済的機会も失われる。女性起業家がこのまま無視され続ければ、投資家は、高い投資利益率(ROI)が得られる可能性が実証されている市場セグメントを、丸ごと見落とすことになるだろう。
女性起業家への投資は賢い選択
女性への投資は、慈善事業などではない。経済的な急務だ。それを証明するデータは出そろっているし、どのような成果が得られるかは疑いようがない。女性が経営するビジネスは優れた業績をあげ、高いリターンをもたらす可能性を秘めている。女性起業家への投資を、単なる善意の取り組みと考えるのはやめ、その本質を認めるべきだ。本気で利益を追求する人にとっては、賢く戦略的な選択となる。
投資家やファンドマネージャー、取締役、あるいはクラウドファンディングを通じてビジネスを支援している人は今こそ、自らの投資パターンを見直すべきだ。自分は資金を成長分野に投じているだろうか、と自問自答してほしい。
女性が率いる事業を、積極的に後押しするファンドやプラットフォームを応援しよう。経済的な決断を今なお大きく左右している、時代遅れな偏見に異議を唱えよう。なぜならパーパス(大きな目標)のある資産の構築とは、最もリターンの大きい分野、つまりは「女性」に投資することを意味するからだ。
結局のところ、多様なチームは革新力と問題解決力に優れているし、新興市場のニーズを正確に把握している。投資先についての協議から女性を排除することは、安全策ではない。チャンスをみすみす逃しているということだ。お金の後を追いかけたいなら、女性に投資しよう。


